お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

EMPA-REG OUTCOME・CANVAS Program・DECLARE-TIMI 58をまとめて評価しちゃったらどうなる?(PMID:30424892)

PMID:30424892
Lancet. 2019 Jan 5;393(10166):31-39.
P:EMPA-REG OUTCOME・CANVAS Program・DECLARE-TIMI 58に登録した人 N=34322
E:SGLT-2阻害薬あり(エンパグリフロジン・カナグリフロジン・ダパグリフロジン)
C:なし(?ここ怪しいです)
O:CVDイベント発生率(MACE=脳梗塞・MI・CVD死・HF入院・腎障害)
T:SR&メタアナリシス
【結果】
1次:HR:0.89(0.83-0.96)P=0.0014

アテローム動脈硬化あり:HR:0.86(0.80-0.93)
アテローム動脈硬化なし:HR:1.00(0.87-1.16)
CVD死+HF入院 HR:0.77(0.71-0.84)P<0.0001
腎疾患進展 HR:0.55(0.48-0.64)P<0.0001
【コメント】
アブストラクトのみ
SGLT-2阻害薬の使用にて、MACEは11%下がることが示された。
しかし、背景を繙くと心血管既往のある群だけが統計学的にMACEを減らすことになった。このことから心血管イベント因子のある(ハイリスク)群に対してある程度の将来的イベント抑制効果を期待できるのかもしれない。
ただCVD死+HF入院は心血管既往の有無に関わらず23%減少に繋がった。
ハイリスク群に対してのSGLT-2阻害薬は2次予防として期待できる可能性があるが、1次予防に対しては、心不全入院など限定的な効果になると解釈が出来るのだろうか。
糖尿病患者におけるSGLT-2阻害薬投与がなされたときに、一遍通りでは無く、目の前の患者がどの立ち位置にいるのか確認した上での服薬支援が必要になってくると改めて考えさせられた。