PMID:32966714
N Engl J Med. 2020 Oct 8;383(15):1425-1435.
【論文のPECO】
P:40歳以上の2型DM+アテローム性動脈硬化(HbA1c7.0-10.5%)
E:エルツグリフロジン5㎎・15㎎ N=5499
C:プラセボ N=2747
O:MACE(CVD死亡・致死的でないMI・致死的でない脳卒中)
T:RCT、非劣性、二重盲検
【結果】
11.9% vs 11.9% HR:0.97(95.6%CI:0.85-1.11)P<0.001
(非劣性マージン:1.3)
<患者背景>
平均年齢:64.4歳
DM平均罹患歴:13.0年
平均HbA1c:8.2%
<既往歴>
冠動脈疾患:75.9%
脳血管疾患:22.9%
末梢動脈疾患:18.7%
心不全:23.7%
<2次アウトカム>
CVD死+HF入院→2.3%vs2.7% HR0.88(0.75-1.03)
CVD死→1.8 vs 1.9 HR:0.92(0.77-1.11)
致死的+非致死的MI→1.8% vs 1.7% HR1.04(0.86-1.26)
非致死的脳卒中→1.0% vs 0.9 HR:1.06(0.82-1.37)
HF入院→0.7 vs 1.1 HR:0.70(0.54-0.90)
全死亡率→2.4 vs 2.6 HR:0.93(0.80-1.08)
【コメント】
今試験結果では、エルツグリフロジンがプラセボと比較して心血管イベントは劣らないことが示された。
ただし、複合心血管イベントは有意差が付きませんでした。有意差が付いたものは副次評価項目の心不全による入院のみ。
その他は有意差が付かないまでも減少傾向と示された。
①有意差がついたのは、副次評価項目のため判断には注意が必要である
②有意差は心不全入院だけのため先行SGLT-2阻害薬の結果に引っ張られた盲検化に偏りなどが無かったか?
③米国のため患者背景の平均年齢が若いのではないか
④HbA1cベースラインが高いのではないか
など4つの点から今試験を日本人対象の外的妥当性は難しいのかもしれないと考えた。