お薬のこと

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うっ血性心不全の患者に対する、フロセミドとトラセミドで死亡率は差がありますか? PMID: 37677884.

 Am J Cardiol. 2023 Sep 5;206:42-48.PMID: 37677884.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37677884/

【論文のPECO】
P:うっ血性心不全患者
E:フロセミド n=2,088
C:トラセミド n=2,039
O:全死亡率、全死因入院、心血管関連入院、心不全関連入院
[データベース]PubMed、MEDLINE、Cochrane、Embase 

[研究デザイン]RCT のメタ分析
【結果】
全死亡率 RR:1.02(0.91-1.15) P=0.70
心血管入院 RR:1.36(1.13-1.65) P=0.001
心不全関連入院 RR:1.61(1.21-2.24) P=0.001
全入院 RR:1.60(1.01-1.11)P=0.002

【コメント】
アブストラクトのみであるが、トラセミドはフロセミドと比較したとき、ハードアウトカム中の全死亡率は統計学的な差は無いが、ソフトエンドポイントである心不全関連入院は心血管関連の入院を減らせる可能性が見いだされた。
心不全による入院を減らす事は、心不全ステージの進行を遅らせることになると推測すると、選択肢として挙げてもよい薬と考えられる。