Lancet. 2022 Oct 22;400(10361):1417-1425.PMID: 36240838.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36240838/
【論文のPECO】
P：高血圧で1つ以上の降圧薬を飲んでいる人
E：夕の服用 N=10503
C：朝の服用 N=10601
O：複合アウトカム（非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死亡）
T：ランダム、非盲検、比較試験、前向き
【結果】
夕の発生率：0.69(0.62-0.76)/100患者年あたり
朝の発生率：0.72(0.65-0.79)/100患者年あたり
HR:0.95(0.83-1.10)P=0.53
＜二次評価項目＞
非致死的心筋梗塞 HR:0.92(0.73-1.16)
非致死的脳卒中 HR:0.93(0.73-1.18)
血管死 HR:1.10(0.84-1.43)
全死亡 HR:1.04(0.91-1.18)
心不全入院 HR:0.79(0.59-1.07)
【コメント】
夜に飲んでも朝に飲んでも、心血管イベントの差にはさほど影響しにくい可能性が示された。
似たような先行研究で、2010 年の MAPEC 研究（Chronobiol Int. 2010 Sep;27(8):1629-51.PMID: 20854139）では、就寝時に服用した場合朝と比較して、主要な心血管イベント 心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中）が有意に低く【調整相対リスク:0.33（0.19–0.55）】、
Hygia Chronotherapy 研究 （Eur Heart J. 2020 Dec 21;41(48):4565-4576.PMID: 31641769）では、就寝時の服用で朝と比較すると、心血管イベント (心血管死、心筋梗塞、冠動脈血行再建術、心不全、および脳卒中) が大幅に減少したことも報告されています 【HR:0.55（0.50–0.61）】。
この参加者の集団は比較的健康志向のある人達の可能性が示唆されています。
更にこの試験は無作為（ランダム）ですが、非盲検化のため被験者は血圧に対するなんからの行動を起こした可能性はあります。
何にせよ、この集団は健康志向のある集団の可能性があるのだから、そこから生じた過大評価を考慮する必要があるのかもしれないですね。
