N Engl J Med. 2019 Jun 13;380(24):2295-2306.PMID: 30990260
【論文のPECO】
P:アルブミン尿のある 2 型糖尿病+慢性腎臓病 30歳以上、HbA1c6.5-12.0、eGFR 30~<90mL/分/1.73m2
E:カナグリフロジン 100㎎ / 日 N=2202
C:プラセボ N=2199
O:複合(末期腎不全(透析≧30日,腎移植,推算糸球体濾過量[eGFR]<15mL/分/1.73m2≧30日),血清クレアチニン値の倍増≧30日,または腎/心血管疾患による死亡)
【結果】
主要アウトカム HR(ハザードリスク比):0.70(95%信頼区間 0.59-0.82)P=0.0001
末期腎不全+血清クレアチニン値倍増+腎疾患死亡:HR:0.66(0.53-0.81)P<0.001
末期腎不全 HR:0.68(0.54-0.86)P=0.002
心血管死亡率+心筋梗塞+脳卒中 HR:0.80(0.67-0.95)P=0.01
心不全入院 HR:0.61(0.47-0.80)P<0.001
血清クレアチニンの倍増 HR:0.60(0.48-0.76)
心血管死亡率 HR:0.78(0.61-1.00) P=0.05
全死亡率 HR:0.83(0.68-1.02)
【コメント】
2型糖尿病+慢性腎臓病の人に対してカナグリフロジンを使用すると、約30%の腎関連のイベントを減少させる可能性があり、腎保護作用、心血管保護作用が期待できる可能性がある。ただし、死亡率関連の個々のアウトカムは統計学的有意差は示されなかった。
死亡率を減らす事は難しいが、末期腎不全への進行は減らせることは腎機能低下を遅らせることが出来る可能性がある。
ただ、腎機能 eGFR を30までにしているため、適応は30mL/分/1.73m2 となっている。この値以下の集団に対する腎/心保護作用の結果によってどのレベルまでカナグリフロジンが適応出来るのか確認していく必要がある。