N Engl J Med. 2022 Aug 27.PMID: 36027570
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36027570/
【論文のPECO】
P:EF>40% 心不全 N=6263
E:ダパグリフロジン 10㎎/日 N=3131
C:通常治療 N=3132
T:2重盲検、ランダム化比較試験、
【結果】
ハザードリスク比:0.82(0.73-0.92)
心不全入院:0.77(0.67-0.89)
心不全緊急訪問:0.76(0.55-1.07)
心血管死亡率:0.88(0.74-1.05)
<サブ解析より>
NYHAⅡ:0.81(0.70-0.94)
NYHAⅢ-Ⅳ:0.80(0.65-0.98)
LVEF49%以下:0.87(072-1.04)
LVEF50-59%:0.79(0.65-0.97)
LVEF60%以上:0.78(0.69-092)
BMI30未満:0.89(0.75-1.04)
BMI30以上:0.74(0.63-0.88)
T2DMあり:0.83(0.70-0.97)
T2DMなし:0.81(0.68-0.96)
【コメント】
通常治療と比較して、心不全の改善効果は期待が出来そう。心不全入院は優位な結果だが、心血管リスクに対しては、有意な結果が得られなかった。
サブ解析を見てみると、 NYHA のクラスに関わらず改善効果がみられたのは症状が改善しても中止する選択肢ではない事が伺えます。
ただ BMI 30 以上の群が有意、2型糖尿病の有無には左右されない結果でした。 更にベースラインの人種を確認すると、白人が 70%、アジア人が 20% であった。
アジア人は(特に日本人は)やせ型の 2 型糖尿病の人が多く(Diabetes Care. 1997 Oct;20(10):1562-8.PMID: 9314636)、日本人の平均的な BMI は、男性:23.8、女性:22.6(平成28年 国民健康栄養調査より)であることも考慮すると、糖尿病ではないが高血圧などの基礎疾患を持つステージAで、将来的な心不全リスクをもつ HFpEF の人たちに対して、ダパグリフロジンを早期に導入を検討するのは難しいかもしれない。そこには心血管リスクを改善しなかった点も後押しするだろう。