Neurology. 2023 Feb 22:10.1212/WNL.0000000000207081.PMID: 36813729.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36813729/
【論文のPECO】
P:認知症病歴のない40-69歳
E:下剤あり
C:下剤なし
O:認知症発症率
【Results】
全認知症 HR:1.51(1.30-1.75)
AD HR:1.05(0.79-1.40)
血管性 HR:1.65(1.21-2.27)
浸透性下剤→全認知症 HR:1.64(1.20-2.24)
血管性 HR:1.97(1.04-3.75)
【コメント】
残念ながら全文が読めないため吟味が難しいが、交絡因子を考えるとするならば、
①便秘をするから下剤を常用するのであって、便秘になりやすい薬剤を定期的に服用している集団だった場合。
例えば PPI の常用がある場合、そういった集団は脳卒中の既往歴があり DAPT の様な抗血小板薬による 2 次予防を行っている場合、血管性認知症の発症リスクに繋がっているかもしれない。
②パーキンソン病の病歴がある集団だった場合。
パーキンソン病は将来的に認知症になるリスクが高まることが知られている。さらにパーキンソン病は、排泄が難しく下剤を使用している人が多く、排便時にいきむことが多いと仮定した場合に、血圧が上がりやすいかもしれない。結果的に血管性認知症の発生率をあげる原因になっているかもしれない。
ただ、イギリスの報告(PMID: 36870957)についても同様に認知症リスクが高まるというものがある。下剤の使用が認知症リスクには再現性があるものかもしれない。
今後の更なる研究結果が待たれる。