お薬のこと

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低用量のエドキサバンは、脳卒中を防げますか? PMID:32865374

Okumura K,et al.N Engl J Med. 2020 Oct 29;383(18):1735-1745.PMID:32865374
【論文のPECO】
P:80歳以上の非弁膜症心房細動
E:エドキサバン(15㎎/日) N=492
C:プラセボ N=492
O:脳卒中と全身性塞栓症の複合
【結果】
2.3%/年vs6.7%/年
HR:0.34(95%CI:0.19-0.61)P<0.001

15/492=0.0304
44/492=0.0894
差=ARR=0.059
1/0.059≒17=NNT


<Secondアウトカム>
脳卒中 HR:0.30 (0.16−0.57)

12/492=0.024
40/492=0.081
差=0.057
1/0.057=17.5=NNT


全身性塞栓症 HR:0.50 (0.13−2.01)
出血:3.3%vs1.8%
HR:1.87(0.90-3.89)P=0.009
死亡:9.9%vs10.2%
HR:0.97(0.69-1.36)
【背景】
平均CHADS2 score:3.1±1.1
平均年齢:86.4±4.3歳
85歳以上:53.5%
平均BMI:22.2±3.8
平均BW:50.6±11.1
平均CL:36.2±14.5
【コメント】
複合アウトカムは有意差ありだが、個々のアウトカムで確認すると、脳卒中のみ有意差ありのため、脳卒中引っ張られている結果と見れる。
出血の頻度の有意差はついていないが、エドキサバン服用群の方が頻度が高めであることに注意を。
平均クレアチニンリアランスは、36.2±14.5 なので、通常は30㎎/日の用法である。

令和元年国民健康・栄養調査・身体状況調査の結果のによると
80歳以上の男女の平均・体重、平均BMIは以下の通りだった
体重:男;60.1㎏ 女;48.6㎏
BMI:男;22.7 女;22.1

令和元年国民健康・栄養調査報告|厚生労働省

近年の日本人で照らし合わせても外的妥当性は高そうである。