お薬のこと

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非弁膜症性心房細動に抗凝固薬使用はイベントが発生しますか?PMID:32098607

PMID:32098607(EAST-AF registry)
Stroke. 2020 Apr;51(4):1150-1157.

Atrial Fibrillation-Associated Ischemic Stroke Patients With Prior Anticoagulation Have Higher Risk for Recurrent Stroke
P:非弁膜症性心房細動(NVAF)のある人 N=5645
E:経口抗凝固療法(+)N=1129
C:経口抗凝固療法(-)N=4516
O:脳卒中の再発率
T:前向きコホート、日本&韓国の統合
【結果】
HR:1.50(95%CI:1.02-2.21)P=0.03
出血性脳卒中:HR:0.64(0.24-1.69)P=0.37
全死亡:HR:0.96(0.79-1.18)P=0.71
<背景>
年齢中央値:75歳

女性:46.9%
抗血小板薬→アスピリン・クロピドグレル・ジピリダモール・チクロピジン・シロスタゾール
抗凝固薬→ダビガトラン・アピキサバン・リバロキサバン
スタチン
喫煙:29.9%vs31.1%(P=0.42)
高血圧:76.9%vs72.2%(P<0.01)
糖尿病:28.1%vs26.4%(P=0.24)
高脂質症:35.3%vs27.8%(P<0.01)
【コメント】
非弁膜症心房細動に対して、抗凝固療法を行っていた群が再梗塞率が高かった。
EAST-AF registryは2つの前向きコホート研究(日本のSAMURAI-NVAF registryと韓国のCRCS-K registry)の統合研究だそうです。
出血が増えるのであれば、抗凝固薬の調節を考慮するとと良いかもしれないが、統計学的には出血性は有意差はない。
果たして、脳卒中再発を防ぐためにはどのような対策を講じるのが良いのだろうか?
この文献の結果だけでは「再脳卒中を防ぐために抗凝固療法を中止しましょう」と安易に結論を出すのは危険。ただリスクが高いから「中止」という判断を持つよりも、年齢層が高く抗凝固療法を行っている方に対して、どのようなフォーローアップが必要なのか検討していく1つの材料になりそうである。

参考:

EAST-AF registry_抗血栓療法トライアルデータベース