PARADIGM-HF サクビトリルバルサルタンのエナラプリルとの比較(LCZ696)
PMID:25176015 N Engl J Med. 2014 Sep 11;371(11):993-1004.
【論文のPECO】
P:駆出率の低下した心不全 NYHAクラスⅡ-Ⅳ EF<40% 平均63歳 N=8399
E:LCZ696 1日2回200 mg N=4187
C:エナラプリル10㎎ N=4212
O:CVD死+HF入院(複合アウトカム)
【結果】
21.8%vs26.5% HR:0.80(95%CI 0.73-0.87) P<0.001
CVD死:13.3%vs16.5% HR:0.80(0.71-0.89)P<0.001
HF入院:12.8%vs15.6% HR:0.79(0.71-0.89)P<0.001
中止率:17.8%vs19.8%(死亡による中断抜き)
利尿薬:80%
β遮断薬:93%
ランダム化-してる。
盲検化-してる。(二重盲検無作為)
ITT解析→intention to treat 記載あり
アウトカムは真か-真である
1次アウトカム-複合アウトカム ⇒ 複合のため個々のアウトカムを確認する必要あり
【コメント】
個々のアウトカムでも、エナラプリル群に比べてCVD死率と入院率ともに下げる結果であった。
イベント発生率を下げたのは、LCZ696単独ではなく、慢性心不全に有効であるβ遮断薬や利尿薬などを8割以上使用しているためでもあるので、純粋な効果と判断して良いのか?
考え方を変えると、慢性心不全でβ遮断薬+利尿薬(鉱質コルチコイド受容体遮断薬)+ACE-Iで入退院を繰り返している場合に新たな選択肢として幅が広がったと考えてみても良いのかもしれない。
2020年7月、本邦でも発売となった。