お薬のこと

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心室頻拍にカテーテルアブレーションは推奨できますか?(VANISH2 試験)PMID: 39555820

VANISH2 
N Engl J Med. 2024  PMID: 39555820

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39555820/

【論文のPICO】
P:心筋梗塞の既往、心室頻拍(VT)がある患者
I:カテーテルアブレーション
C:抗不整脈薬(ソタロール120㎎ 分2経口、またはアミオダロン400㎎ 分2)
O:全死亡率、無作為後14日以上経過後のVTストーム、14日後のICDショック、14日後のICDの検出限界以下の持続性VTの治療
【結果】
50.7% vs 60.6% HR:0.75(0.58-0.97)P=0.03
全死亡 0.84(0.56-1.24)
14日後のICDショック 0.75(0.53-1.04)
14日後のVT 0.95(0.63-1.42)
14日後のICDの検出限界以下の持続性心室頻拍 0.26(0.13-0.55)
<処置後 30 日以内の有害事象>
死亡: 2 人 (1.0%)
非致死性の有害事象:23 人 (11.3%) 
不整脈薬治療に起因する有害事象
肺毒性作用による死亡: 1 人 (0.5%)
非致死性の有害事象:46 人 (21.6%) 
【コメント】
今回の結果では、HR:0.75(0.58-0.97)P=0.03 と有意に主要評価項目が低下したが、副次評価項目で個々の結果を見ると、持続性心室頻拍の発生の抑制が主な結果に起因していることが読み取れます。
心室頻拍は、心室期外収縮が心拍数100/分以上で発作性期外収縮が3回以上連続で発生するものをVTと呼びます。
ICD を植え込んだ人の約3分の1は、植え込み後3年以内に心室頻拍の発作を起こし、ICD ショックを受けるとされており、再発性VTを抑制するために抗不整脈薬やカテーテルアブレーションの使用が推奨されています。 
死亡率などハードアウトカムの評価は有意ではありませんでした。そのため今回の結果のみでカテーテルアブレーションの推奨というのは、根拠が弱く、さらなる検討が必要かもしれない。