お薬のこと

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下肢の整形外科手術後の静脈血栓予防にリバロキサバンは有効ですか? PMID:32223113

PMID:32223113
N Engl J Med. 2020 May 14;382(20):1916-1925.
参考:抗血栓療法トライアルデータベース https://www.ebm-library.jp/att/trial/detail/62706.html

【論文のPECO】
P:下肢整形外科非大手術執行VTE予防を2週間以上受けた人。(VETリスクにより術者が選択) N=3604
E:リバロキサバン(10mg/日) N=1809 平均年齢41歳 糖尿病4.4% 冠動脈疾患2.9% VTE既往1.1%
C:エノキサパリン N=1795 平均年齢41歳 糖尿病3.5% 冠動脈疾患2.7% VTE既往0.8%
O:静脈血栓の発生率
非劣性(P = 0.01)・ランダム化・二重盲検
【結果】
0.2%vs1.1% RR:0.25(95%CI:0.09-0.75)P <0.001
大出血&非大出血 1.1%vs1.0% RR 1.04(95%CI:0.55-2.00)p=0.89
大出血のみ 0.6%vs0.7% RR 0.81(95%CI:0.35-1.88)p=0.62
VETリスクにより術者が選択→非盲検?じゃないのか
ランダム化前に手術MAX48時間は低分子ヘパリン使用
【コメント】
下肢手術は長時間の安静が求められる為、静脈血栓が生じやすくなる。リバロキサバンの服用で血栓リスクを減らすことが期待される。
2重盲検とあるが、VETリスクのある患者をリストアップしている点はオープンではないのだろうか?
平均年齢が41歳と両群とも若いので、通常DOACを服用する高齢者層に、この結果をそのまま当てはめるのは注意が必要である。

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文献より、筆者作成