お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

経口GLP-1作動薬は皮下注GLP-1作動薬の代替案でもいいですか? PMID: 31186120(PIONEER4)

PMID: 31186120
Lancet. 2019; 394: 39-50.
P:2型DM、平均年齢56歳、1500㎎/日以上 N=711
E:経口セマグルチド(14㎎) N=285
C:①皮下注リラグルチド(1.8㎎) N=284
C:②プラセボ N=142
O:(1次)26WでのHbA1c変化 (2次)26Wでの体重変化
非劣性マージン=0.4%
【結果】
HbA1c→E群:-1.2%、C群:-1.1%、プラ:-0.2%
E-Cの差→-0.1%(95%CI:-0.3 to 0.0) P<0.0001 →(マージン0.4%を越えていない)非劣性を示す
E-プラの差→-1.1%(-1.2 to 0.9) P<0.0001 →有意差あり

ITT解析(すべての治療方針=救急薬の使用、治療薬の中止も全て含む)
vsリラグルチド→-0.2%(-0.3 to ー0.1) P=0.0056
vsプラセボ→-1.2%(-1.4 to -1.0) P<0.0001
(2次)体重変化
vsリラグルチド→―1.5㎏(-2.2 to -0.9) P<0.0001
vsプラセボ→-4.0kg(-4.8 to -3.2) P<0.0001
【コメント】
経口GLP-1作動薬と皮下注GLP-1作動薬の比較をした試験。
臨床試験フェーズ3でもあり、非劣性を見るためにGLP-1作動薬同士をみて、
有効性を見るためにプラセボ対照。2:2:1で比較している。
皮下注リラグルチドに劣らず、プラセボよりも有効であることが示された。
また体重変化においても、リラグルチドとプラセボともに比較して減らすことが示された。
GLP-1作動薬を使用したいが、侵襲性の面で皮下注に対して抵抗がある患者さんの新たな選択肢として考えても良いのかもしれない。

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