お薬のこと

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世界初の経口GLP-1作動薬は安全に使えますか? PMID:31186300(PIONEER 1試験)

PMID:31186300(PIONEER 1試験)
Diabetes Care. 2019; 42: 1724-1732.
【論文のPECO】
P:2型DM(罹患歴:3.5年)、食事運動療法のみでHbA1c7.0-9.5%の人、平均55歳、平均体重:88㎏、平均BMI:31.8㎏、平均HbA1c:8.0 N=703
E:セマグルチド ①3㎎(N=175)②7㎎(N=175) ③14㎎(N=175)
C:プラセボ N=178
O:ベースラインからのHbA1c変化
T:ランダム比較試験
【結果】
1次アウトカム E群vsC群
①-0.6%(-0.8 to -0.4)P<0.001
②-0.9%(-1.1 to -0.6)P<0.001
③-1.1%(-1.3 to -0.9)P<0.001

2次アウトカム:体重変化
①-0.1kg(-0.9 to 0.8)P=0.87
②-0.9kg(-1.9 to 0.1)P=0.09
③-2.3kg(-3.1 to 1.5)P=0.01
【コメント】
経口GLP-1作動薬初のセマグルチド。最初の試験としてプラセボ対照で安全性をみた試験のため、死亡率など真のアウトカムではない。
効果としては、3㎎、7㎎、14㎎の全てで有意にHbA1cをベースラインから下げることに繋がった。また14㎎群のみが体重減少を有意に示した。
試験中止した理由で最も多い有害事象は胃腸障害であった。
ただし試験対象者の平均体重、BMIともに大きく、日本人でそっくり当てはめようとするのは難しいだろう。 更なる結果方向が期待される。