お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

ドキシサイクリンは性感染症を予防することは出来るの? PMID: 38118022

N Engl J Med. 2023 Dec 21;389(25):2331-2340. PMID: 38118022

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38118022/

P:HIVに対する暴露前予防(PrEP)を受けている18~30歳のシスジェンダーケニア人女性
E:ドキシサイクリン(コンドームなしの性交後72時間以内に200mg摂取)
C:標準治療(四半期ごとの STI 検査および治療のみ)
クラミジアは1gの経口アジスロマイシン、淋病は500mgのセフトリアキソン(筋肉内注射)または400mgの経口セフィキシム、梅毒は240万単位のペニシリンGベンザチン(筋肉内注射)で治療
O:クラミジア・トラコマチス、淋菌、または梅毒トレポネーマなどの偶発感染
【結果】
50件vs59件
RR:0.88(0.60-1.29)P=0.51
クラミジア:85/109件(35件vs50件)RR:0.73(0.47-1.13)
淋菌感染:31/109件(19件vs12件)RR:1.64 (0.78–3.47)
1 か月あたりのドキシサイクリン投与回数の中央値:4 回 
1 か月あたりの性行為の回数の中央値:4回
【背景】
世界中で HIV 曝露前予防 (PrEP) を受けている人の中で細菌性 STI の有病率と発生率が高いことが知られている。
シスジェンダー男性の細菌性性感染症予防(PMID: 29229440):HR:0.53(0.33-0.70)
トランスジェンダー女性の細菌性性感染症予防(Presented at the 24th International AIDS Conference, Montreal, July 29–August 2, 2022.)RR 0.33(0.23-0.47)p<0.0001 
【コメント】
性感染症の感染は減少傾向であったが、有意に防いだとはいえなかった。
また、各nntを計算してみると感染全体では125であった。 クラミジアはこちらも減少傾向であったが同様に有意差ない。ただnnは66と統合で見たよりは、少し減っており、投与を検討する余地、さらなる試験を見ていく余地はあるかもしれない。
淋病の場合は、C群からE群を引くとマイナスになってしまい、逆に有害であった。