お薬のこと

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葉酸サプリメントを摂取することで川崎病の発生頻度と変化がありますか?PMID: 38153729

JAMA Netw Open. 2023 Dec 1;6(12):e2349942. PMID: 38153729

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38153729/

【論文のPECO】
P:妊娠中の女性
E:①葉酸濃度≧10ng/mL ②葉酸サプリメント摂取あり
C:①葉酸濃度 <10ng/mL ②葉酸サプリメント摂取なし
O:川崎病の発生頻度
【結果】
①0.27%vs0.41% OR:0.68(0.50-0.92)
②妊娠第1期 0.34%vs0.42% OR:0.83(0.66-1.04)
   妊娠第2期~第3期 0.30%vs0.43% OR:0.73(0.57-0.94)


【背景】
日本の少子化にも関わらず川崎病(以下、KD)の新規症例数は2019年まで増加傾向であった。COVID-19 の流行により換算予防行動の結果、2019 年、2020 年では減少した。感染症の影響は限定的であるが、KD の発症と再現可能な関連性のある曝露は確認されていない。その中でも日本の大規模コホート内(PMID:34172781)では、妊娠中の葉酸補給と KD のリスクの相関性が以前の研究で新されていた。 そこで、それらの所見を確認するために調査された。

【コメント】
葉酸の摂取濃度はより高い方が KD の発生頻度が低い傾向があり、妊娠初期は発生頻度が低いものの統計学的な有意差は無かったが、第 2 期、3 期では葉酸サプリメントの摂取有無がKDの発症頻度に有意に影響していた可能性が示された。
日本の妊婦の葉酸平均摂取量 243μg(参考:厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査報告)は減少傾向にあり、WHO の推奨量 480μg に届いていない。妊娠中の適切な食事に合せて葉酸の摂取(サプリメント)を行うことで、将来的な KD の発症リスクが軽減される可能性があると考えられる。