お薬のこと

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サクビトリルバルサルタンが血糖値に与える影響はどうですか? PMID: 36527023

BMC Med. 2022 Dec 17;20(1):487. PMID: 36527023

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36527023/

【論文のPECO】
P:n=31 RCT
E:サクビトリルバルサルタン
C:プラセボ or ACE-i/ARB
O:血糖コントロール
・メタ分析&システマティックレビュー
・検索:Cochran・Embase・PubMed・ClinicalTrials.gov
・評価者:2人
【結果】
<新規DM発症 vs プラセボ
全ての患者 RR:0.78(95% CI,0.64-0.95)
HF RR:0.24(95% CI,0.12-0.48)
HFrEF RR: 0.24(95%CI,0.12-0.50)
HFpEF RR:0.54(95%CI,0.34-0.85)
<新規DM発症 vs ACE-i or ARB
全ての患者 RR:0.91(95%,0.76-1.09)
HF RR:0.90(95%,0.75-1.08)
HFrEF RR:0.90(0.72-1.13)
HFpEF RR:0.89(0.64-1.25)

低血糖 vs プラセボ
非DM群 RR:5.71(95% CI,2.02-16.21)
低血糖 vs ACE-i or ARB
HF(非DM) RR:1.85(1.12-3.06)p=0.02
HFrEF RR:1.18(0.62-2.26)p=0.61
HFpEF RR:3.59(1.51-8.55)p=0.004
vs ACE-i RR:1.26(0.65-2.46)P=0.49
vs ARB RR:2.72(1.18-6.27)P=0.02

【コメント】
新規糖尿病発生頻度については、プラセボと比較すると低く、ACE-i/ARBと比較すると頻度を高めない 差が無い可能性があることが示された。 またプラセボと比較すると低血糖の頻度が高まる可能性が示された。  また、心不全の内 HFpEF を患っている場合頻度が高くなる可能性もあった。
これは本邦のサクビトリルバルサルタンのRMPによる【重要な特定されたリスク】に記載されている通り、低血糖の発症に注意喚起が必要であることが示された。