EMPAROR-Preserved
Anker SD,et al. N Engl J Med. 2021 Aug 27.PMID:34449189
【論文のPECO】
P:心不全(NYHAⅡ-Ⅳ)の HFpEF N=5988
E:エンパグリフロジン 10㎎/日 N=2997
C:placebo N=2991
O:複合アウトカム(心血管死+HF入院)
ランダム化しているか→している
1次アウトカムは明確か→明確(ただし複合)
真のアウトカムか→真
ITT解析はされているか→している
【結果】
13.8%vs17.1% HR:0.79(0.69-0.90)P<0.001
心血管死 HR:0.91(0.76-1.09)
HF入院 HR:0.71(0.60-0.83)
<ベースライン>
NYHAⅡ:81% NYHAⅢ:18%
BMI:30弱
EF:40-50%:33% EF:50-60%:34% EF>60%:32%
<サブグループ解析>
LVEF 50> 0.71(0.54-0.88) 50-60:0.80(0.64-0.99) 60< 0.87(0.69-1.10)
Age <70歳 0.88(0.70-1.11) >70歳 0.75(0.64-0.87)
DM あり:0.79(0.67-0.94) なし:0.78(0.64-0.95)
性差 男性:0.81(0.69-0.96) 女性:0.75(0.64-0.87)
NYHA Ⅱ:0.75(0.64-0.87) Ⅲ-Ⅳ:0.86(0.68-1.09)
eGFR ≧60:0.81(0.65-1.00) 60>:0.78(0.66-0.91)
【コメント】
複合アウトカムとしては、統計学的有意差は示されたが、個々のアウトカム 心血管死亡率は有意差を示すことは出来なかった。 しかし減少傾向であることは示された。
これまで様々な薬が HFpEF の治療に対する大規模臨床試験が行われてきましたが、どれも統計学的有意差を示すことが出来ませんでした。 複合アウトカムという、見方によっては、もしかしたら少しズルい方法かもしれませんが、このエンパグリフロジンを用いた臨床試験を突破口にしていければこれからの HFpEF 治療の発展に繋がればよいのではないでしょうか。
その中で今回どの様な群が有意差を導き出すことが出来たのか見てみると、私見ではあるが、 女性で70歳以上、EF50-60%で、eGFR60未満、NYHAⅡクラス
この群ならHFpEFに対して、エンパグリフロジンを投与すると心不全入院などリスクを下げられる可能性があるのではないかと、読み取ってみました。