お薬のこと

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鉱山労働者は勃起不全になりやすいですか? PMID: 37869070

Sex Med. 2023 Oct 19;11(5):qfad052. PMID: 37869070

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37869070/

【論文のPECO】
P:コンゴ共和国、旧カタンガ州の男性
E:鉱山労働者
C:パン職人
O:IIEF勃起機能スコア
【結果】
軽度-中等度のED 
aOR:2.6(1.3-5.3)
勤続年数5年 aOR:2.3(1.1-4.6)
【背景】
アフリカの銅地帯は、銅とコバルトの職人的および工業的な採掘と精製が盛んに行われている場所であり、鉱山労働者は微量金属、主にコバルトだけでなく、ヒ素、ウラン、マンガンカドミウムなどの付随するさまざまな有毒元素に大量に曝露されています。
米国による先行研究では、2件の研究で微量金属とEDの関連性が示されています。しかし、鉱山労働者とEDの関係性までは不明でした。そこで、鉱山労働者によるEDに対する訴えについて関連性があるのか調査を行った。
【コメント】
鉱山労働者の方が、ED 発生率が高かった。
EDのリスク因子となる、喫煙や高血圧については両群に差は無く、糖尿病の報告も無かったことから、鉱山労働による微量金属への暴露が ED へのリスク因子になりうる可能性は十分に考えられそうだ。
そういった点で興味深いのは、媚薬の使用頻度の高さであった。(aOR:4.2(2.2-8.0)) 各地で使用されていた飲食物にそのような傾向があれば、そういったEDとの関連性がもしかしたらあったのかもしれない。

 

また、鉱山労働者におけるEDの発生がある場合は、将来的な心筋梗塞などの心血管イベントのリスク増を考慮してもいいかもしれない。