お薬のこと

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高齢者における、毎日の低用量アスピリンは貧血を増やしますか? PMID: 37335992

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37335992/

 

Ann Intern Med. 2023 Jun 20.PMID: 37335992

【論文のPECO】
P:70歳以上の成人  n=19114 人
E:低用量アスピリン 100㎎/日
C:プラセボ
O:貧血の発生率
【結果】
51.2件/1000人年 vs 42.9件/1000人年 HR:1.20(1.12-1.29) 
Hb濃度(5年あたり) -0.6g/L vs -3.6g/L (0.3-1.0g/L)
3年目のフェリチン濃度 465人(13%) vs 350人(9.8%)  11.5%(CI 9.3%-13.7%)
【コメント】
本試験は、ASPREE ランダム化対象試験の事後分析(ClinicalTrials.gov: NCT01038583 )である。
ASPREE試験は、低用量アスピリン(100㎎/日)とプラセボの比較による全死亡率を解析したもので、その結果は、HR:1.14(1.10-1.29) と、健康な高齢者の死亡率を高めていた。全死亡率を押し上げていたのは、がん関連死亡によるものでした。
さて、本試験は、大出血の有無に関わらず、貧血やフェリチン低下の増加を認めた。 このことから、低用量アスピリンを服用している高齢者では、ヘモグロビンによる定期的なモニタリングを考慮すると良いかもしれない。