お薬のこと

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EMPA-KIDNEY 試験 エンパグリフロジンはCKDに有効ですか? PMID:36331190

N Engl J Med. 2023 Jan 12;388(2):117-127. PMID: 36331190

Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease

【論文のPECO】
P:慢性腎臓病(CKD)eGFR:20-45mL/min/1.73m^3または、45-90mL/min/1.73m^3で尿中ACRが200mg/g以上
E:エンパグリフロジン 10㎎/日 N=3304
C:通常の治療 N=3305
O:複合(末期腎疾患、40%以上のeGFRの持続的な低下、腎死亡)
T:中央値2年間
【結果】
HR:0.72(0.64-0.82)P<0.001
心血管死亡率:0.84(0.60-1.19)
全死亡率:0.87(0.70-1.08)
腎疾患の進行:0.71(0.62-0.81)
【コメント】
CKD に対する SGLT-2i の報告は、DAPA-CKD CREDENCE などの報告がある。
先行研究同様に、有意に腎疾患の悪化を減らせる可能性が示された。
しかし、心血管死亡率に対しては減少傾向であるものの有意な結果が得られなかった。
そこには、現代医学の進歩により CKD による悪化はあっても死亡に至る症例数が少ないのではないだろうか。
また、追跡期間が約2年前後と短めであり、死亡に至るまでには短い可能性がある。
今後は、同様の症例で長期間使用した場合の結果報告が待たれるのではないでしょうか。