お薬のこと

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糖尿病と慢性腎臓病のある患者さんにセマグルチドの効果はいかほどですか?

N Engl J Med. 2024 Jul 11;391(2):109-121. PMID: 38785209

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38785209/


【論文のPICO】
P:2型糖尿病+慢性腎臓病(eGFR 25-50mL/min/1.73m^2,Alb(mg)/Cre(g)比 300-500,Alb/Cre 100-5000)
I:皮下用セマグルチド1.0㎎/週1 n=1767
C:プラセボ n=1766
O:複合評価項目(腎不全の発症+eGFRのベースライン50%低下+腎関連/心血管原因の死亡率)
・ランダム化比較試験
【結果】
311件(18.7)(5.8 per 100 patient-years)vs 410件(23.2)(7.5 per 100 patient-years) 
HR:0.76(95%CI,0.66-0.88)P=0.0003
eGFR50%低下 HR:0.73(0.59-0.89)
腎疾患治療の開始 HR:0.84(0.63-1.12)
心血管死亡率 HR:0.71(0.56-0.89)
腎関連死亡率 HR:0.97(0.27-3.49)
主な腎関連 HR:0.79(0.66-0.94)
平均年齢:66.6±9.0歳
女性:30.3 男性:69.7
【コメント】
糖尿病の罹患歴に関わらず、セマグルチドを使用することで腎関連の主要評価項目を有意に24%減らす事が示された。
複合評価項目中、主に有意を示した項目はeGFRのベースラインから50%低下とeGFR<15mL/min/1.73m^2、心血管死亡率であった。特に罹患歴に関わらず心血管死亡率を29%有意に下げられたことは評価されるだろうと考えられる。