お薬のこと

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慢性腎臓病に対するエンパグリフロジンの有効性 PMID: 36331190(EMPA-KIDNEY)

N Engl J Med. 2022 Nov 4.PMID: 36331190(EMPA-KIDNEY)
【論文のPECO】
P:慢性腎臓病
E:エンパグリフロジン N=3304
C:プラセボ N=3305
O:腎疾患の進行と心血管死亡率
・ランダム化→されている
・1次アウトカムは明確か?→死亡率と腎臓疾患の複合。明確と判断
・真のアウトカムか→真のアウトカムと判断して良い
・最後まで解析されているか→ITT解析している。
【結果】
HR:0.72(0.64-0.82)
心不全入院+心血管死亡 HR:0.8480.67-1.07)P<0.001
全入院 HR:0.86(0.78-0.95) P=0.003
全死亡率 HR:0.87(0.70-1.08)P=0.21
糖尿病あり:46.2vs45.8
糖尿病なし:53.8vs54.2
心血管疾患既往歴:26.1vs27.4
BMI:29.7±6.7vs29.8±6.8
【コメント】
糖尿病の有無に関わらず、プライマリーアウトカムを有意に減らす事が出来た。
しかし、全死亡率に関しては統計学的な有意差を示す事は出来ていない。
日本において、慢性腎臓病で非糖尿病、心血管疾患の既往歴の少ない人はどのくらいあてはまるのだろうかと考えると
外的妥当性はやや低めかもしれない。