お薬のこと

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ダパグリフロジンは心不全のHErEFの人の心血管イベントを減らしますか・ PMID: 32219386

PMID: 32219386
JAMA. Published online March 27, 2020
【論文のPECO】
P:HErEFで駆出率40%、NYHA2-4 N=4744
E:ダパグリフロジン N=2373(DM(+)1298、DM(-)1075)
C:プラセボ N=2371 (DM(+)1307、DM(-)1064)
O:心不全の悪化、心血管死
【結果】
①糖尿病がない群:13.2%vs17.7% HR 0.73(0.60-0.88)
②糖尿病がある群:20%vs25.5% HR 0.75 (0.63-0.90)P=0.80
③糖尿病がなくHbA1c<5.7%群:12.2%vs16.9% HR 0.67 (0.47-0.96)
④糖尿病がなくHbA1c=5.7%群:13.7%vs18.0% HR 0.74 (0.59-0.94)
【コメント】
心不全でHErEFの人にダパグリフロジンを使用することで、糖尿病がない群でも心不全関連のアウトカムが減るか見た試験。
そのため一番見たい結果は③だと考える。しかしこの各群の中で、③が一番ハザード比が低い結果であったが、糖尿病が無い群でも1次アウトカムを抑える結果となった。
また糖尿病ある群の方がアウトカムの発生率が高く、P値で有意差が出ていない。

これは本来の糖尿病薬としての心血管イベントの発生率が抑えられていないという本末転倒な結果になっているではないだろうか?