お薬のこと

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シタグリプチンは腎機能が下がっても使えますか?TECOS試験のサブ解析(腎機能の影響)PMID:27742728

Diabetes Care. 2016; 39: 2304-2310. PMID:27742728
TECOS試験のサブ解析(腎機能の影響)

【論文のPECO】
P:N=14671 CVD+2DM 50歳以上、TECOS試験の登録者(除外:eGFR<30mL/min/1.73m2)
E/C:①ステージ1:eGFR≧90
②ステージ2:60~89
③ステージ3a:45~59
④ステージ3b:45~59
O:複合アウトカム(CVD死、非致死的MI、非致死的脳卒中、不安定狭心症による入院)
【結果】
1次アウトカム=複合アウトカム(4point)
①vs②:HR 0.93 (0.82-1.06)
①vs③:HR 1.28 (1.10-1.49)
①vs④:HR 1.39 (1.13-1.72)
シタvsプラセボ
①3.30%vs3.73% HR 0.88(0.71-1.09)
②3.63%vs3.46% HR 1.05(0.92-1.21)
③5.44%vs6.04% HR 0.94(0.77-1.14)
④7.22%vs7.48% HR 0.97(0.76-1.35)


【コメント】
全N数では、eGFRが低下すると、CVDイベントが増える。(1次アウトカム)
シタグリプチンとプラセボを比べた場合、eGFRが下がってもCVDイベントが増えなかった。しかし減ることもしなかった。
CVDリスクが減らなかったということは、将来的なリスク(真のアウトカム)が減らなかったと考えられる。これはただ血糖値(HbA1c)が下がるだけの薬ということにならないのか?
DMの薬を長期間使用する意味としては、将来的な脳卒中心筋梗塞の発生率を下げるように努めることになると考えられるため今回の解析は、いわゆる目の前の数値(代用のアウトカム)だけで有効性を評価をしたと考えらるのではないだろうか?