Age Ageing. 2025 Mar 3;54(3):afaf064.PMID: 40139220
リンク
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40139220/
【論文のPECO】
P:65歳以上の高齢者 n=403
E:転倒リスク無しと判断された人 n=120
C:転倒リスク有りと判断された人 n=283
O:転倒率と転倒後の負傷率
【結果】
転倒率:41.3% vs 64%
aIRR:3.91(95%CI,3.30-4.64)P<0.001
負傷率:59.7% vs 63.2%
aIRR:1.26(95%CI,0.93-1.71)P=0.11
(1年後追跡)
転倒率:31.1% vs 50%
aIRR:2.43(1.93-3.06)P<0.001
負傷率:50% vs 41.7%
aIRR:1.17(0.73-1.85)P=0.50
(2年後追跡)
転倒率:35% vs 55%
aIRR:2.98(2.44-3.65)P<0.001
負傷率:60.6% vs 57.6%
aIRR:1.31(0.92-1.86)P=0.13
E群は歩行速度が遅いと転倒発生率が約2倍高まった
aIRR:1.83(1.12-3.91)P=0.008
【背景】
平均年齢 73.9歳
女性:62.4%
STEADIアルゴリズムを用いたリスク層別化
平均歩行速度 1.1m/s
傷害を伴う転倒とは、裂傷、打撲、関節損傷(例:腫れ、関節脱臼)、骨折、頭部外傷など、目に見える皮膚損傷を伴う転倒、あるいは救急外来(ER)または外来治療を必要とするほど重篤な損傷を伴う転倒と定義
【コメント】
アルゴリズムで転倒リスクが無いと判断された人は、確かに転倒リスクは少ないが負傷リスクは変わらなかった。
転倒のアルゴリズムでは転倒回数や筋力、バランスなどでリスクを評価しているが、歩行速度は評価に含まれていなかった。
この歩行速度が遅いと、転倒リスクまたは転倒による負傷リスクが高まる可能性を考慮する必要がありそう。
高齢者の転倒の20%程度は怪我をしているというデータがあり、けがは歩行の障害や廃用症候群を引き起こすことが知られている。 そのため転倒に対するアプローチが必要となってくる。アプローチをかける対象は通常なにかしらのガイドラインなどのアルゴリズムで層別化され、高リスク(ここでは転倒リスク群)となった集団に対してアプローチをかけていくことになる。
しかし、低リスク群はアプローチをかけなくてよいのかどうか? を考えてみるのに役に立ちそうである。