お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

HFrEF の慢性心不全患者に歩行を促すとどうなりますか? PMID: 37955615

Circulation. 2024 Jan 16;149(3):177-188.PMID: 37955615
The WATCHFUL Trial

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37955615/

【PECO】
P:HFrEF(EF>40%)・NYHAⅡ-Ⅲの慢性心不全患者 18歳以上
E:月に1回のTELカウンセリング+歩数を増やすように推奨 n=101
C:通常の治療 n=101
O:6ヵ月後の6MWT(6分間歩行テスト)中に歩行した距離のグループ間の差異
【Results】
歩行距離平均差 7.4メートル(-8.0 to 22.7)P= 0.345
歩数/日 1420歩(749-5091) 631.4歩vs790歩
身体活動時間 8.2min(3.0-13.3)0.4min vs 4.9min
【Background】
身体活動、つまりリハビリはHFrEFの管理の基本です。 
(JCS/JACR 2021 Guideline on Rehabilitation in Patients with Cardiovascular Disease)
心血管疾患を持っている患者に対して、身体活動によるフィードバックを活用することで、歩行活動や身体活動の増加に役立つという報告があります。(PMID:37433730)そのような介入をライフスタイル介入と言い、この介入がHFrEFの患者の歩数の増加などの変化が生じるのかどうか?またその増加が機能的能力の向上に関わるかどうかを調査した。
【comment】
ライフスタイル介入によって歩行距離が増加したが、統計学的な差は示されなかった。
この介入が直接的な心血管イベントリスクの改善につながったかどうかは不明ですが、HFrEFの患者に対する介入は、歩行や運動を習慣づけるきっかけとして十分に役立つと考えられる。 
このような運動習慣を保つことは、無理のない範囲のリハビリテーションに繋がる可能性があり、将来的な心血管イベントリスク減などのアウトカム評価に繋がる可能性が示唆される。 今後の更なる結果が待たれたい。