お薬のこと

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高齢の統合失調症患者における死亡率について (前向きコホート) PMID: 38294521

Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci. 2024 Jan 31.PMID: 38294521

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38294521/

【論文のPECO】
P:高齢者 平均年齢 67.9 歳
E:統合失調症
C:双極性障害(BD)・大うつ病性障害(MDD)
O:5年死亡率(心血管障害(CVD)死亡率、非CVD疾患関連死亡率(感染症など)、自殺、および不慮の傷害)
T:前向きコホート
【結果】
29.4% vs 18.4% 
全死亡率:AOR:1.35(1.04-1.76)P=0.024
心血管死亡率 AOR:1.50(1.13-1.99)
抗うつ薬を服用中の場合
全死亡率 相互作用オッズ比 (IOR) : 0.42(0.22-0.79)P=0.008 
心血管死亡率 IOR:0.39(0.16-0.94)P=0.035
【コメント】
高齢者の統合失調症は、BDやMDDと比較すると全死亡率と心血管死亡率が有意に高い事が示された。その反面、抗うつ薬を使用しているとそれらの割合が減少傾向がある事が明らかになりました。 
高齢の統合失調症患者に対する抗うつ薬投与は、死亡率を減少させるのに役立つ可能性が考えられます。 ただし、abstract のみのためどの抗うつ薬の服用率が多いのかなど詳細については不明である。