お薬のこと

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JAK 阻害薬は心血管イベントを減らしますか? PMID: 37910098

JAMA Dermatol. 2024 Jan 1;160(1):28-36. PMID: 37910098

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37910098/

【論文のPECO】
P:皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、白斑 、円形脱毛症) 35件のRCT
E:JAK-i(トファシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブ、ウパダシチニブ、ライトレシチニブ、デルゴシチニブ、ルキソリチニブCr)
C:プラセボ
O:MACE+全死亡率(all mortality)
【結果】
OR:0.83(0.44-1.57)I^2=0%
VTE OR:0.52(0.26-1.04)I^2=0%
【背景】
IMID(皮膚の慢性免疫介在性炎症性疾患)は、重篤なMACEやVTE、重篤感染症、死亡リスクなどの増加に関連していると考えられている。
 乾癬とJAK-iについては(PMID: 33795041)、
アトピー性皮膚炎(以下、AD)とCVDリスクについてはこちらのマッチングコホート(PMID: 29792314)で、重度のADの脳卒中リスク HR:1.22(1.01-1.48)、HFリスク HR:1.69(1.38-2.06)、不安定狭心症リスク HR:1.48(1.08-2.03)などと関連性があった。
【コメント】
ADなどの皮膚疾患とCVDなどによる死亡リスクについて懸念があったが、そのADなどについてJAK-iで治療を行った場合、CVDを含めたMACE+ all mortality にどの様に影響を及ぼすのか調査をしたが、結果としてプライマリーエンドポイントに差が付かなかった。
またVTEについても差が示されなかった。 しかし、各リスクを増加させなかったと見ることも出来よう。(減少傾向だが、差が無かった)
今後の更なる試験結果を追っていく必要があると考えられる。