お薬のこと

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新規の開放隅角緑内障は飲酒をやめることで失明などのリスクは下がりますか? PMID: 37856121

JAMA Netw Open. 2023 Oct 2;6(10):e2338526.PMID: 37856121

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37856121

【論文のPECO】
P:新たに開放隅角緑内障と診断された n=13643
E:禁酒をした n=2866
C:飲酒を続けた n=10777
O:重度の視覚障害リスク、失明リスク
T:横断研究
【結果】
AHR:0.63(95%CI,0.45-0.87)

<飲酒レベル>
軽度(<105 g/週)
中程度から重度(≧105 g/週)
<飲酒頻度>
頻度が低い:<3日/週
定期的~頻繁:≧4日/週

軽度の摂取群:AHR:1.52(95%CI,1.01-2.28)
中等度から多量群:AHR:1.78(95%CI,1.11-2.86)
飲酒頻度が低い群:AHR:1.42(95%CI,0.97-2.08)
飲酒頻度定期的~頻繁群:AHR:2.56(95%CI,1.52-4.33)
【背景】
アルコール摂取が IOP(眼圧) の上昇と開放隅角緑内障 (OAG) の有病率の上昇の両方に関連していることが先行研究で知られている(PMID: 35101531)。しかし、OAGの診断後に飲酒を断つことで、継続的に飲酒をしている人との間にOAGの症状に影響があるのかどうかについては不明であった。また、倫理的にランダム化が困難であったため、疫学的手法を用いた横断研究で調査を行った。
【コメント】
アルコールの摂取を断つことで、失明リスクの軽減に繋がる可能性が示唆された。また、飲酒量は多いほど、飲酒頻度も多い方がリスクが高い事が示された。新規開放隅角緑内障と診断された79%が継続的飲酒者であった。 
診断後、すぐに飲酒を断つのが困難であれば、飲酒頻度を徐々に減らす事で、眼圧に対する負荷を減らしてあげることで、将来的な失明を避けることが出来るかもしれない。