~PMID: 31391573
Sci Rep, 9 (1), 11465 2019 Aug 7 (コホート)イタリア(2019年)
【背景】
心不全とCOPDに罹患している患者に対してのβ遮断薬の使用はガイドライン上はビソプロロール/メトプロロール/ネビボロールを推奨
しかし実際はカルベジロールの方が多い。そのためカルベジロール選択の予測因子を調べた。
【論文のPECO】
P:N=10091 イタリア、カンパニア州)の流域に住んでいるCOPDとHFの人 平均年齢77.7歳
E:カルベジロール N=2011
C:ビソプロロール/メトプロロール/ネビボロール N=8080
O:カルベジロールを選択した割合
【結果】
房室ブロック(OR 8.20; 95%信頼区間、95%CI 1.30-51.80)、
脳血管血栓症(OR 7.06; 95%CI 1.14-43.68)、
慢性腎疾患(OR 4.32; 95%CI 1.16-16.02) 、
急性心不全(OR 1.97; 95%CI 1.28-3.03)
β遮断薬使用のうち、これらは2年以内の入院イベントがカルベジロールを有意に選んでいた
インスリン(OR 3.00; 95%CI 1.24–7.24)
フォンダパリヌクス( OR 2.47; 95%CI 1.17–5.21)
ストロンチームラミネート( OR 2.03; 95%CI 1.06–3.90)
β遮断薬使用1年前にこれらをを使った患者はカルベジロールを使用する確率が有意に高かった。
【コメント】
房室ブロックなどの有意差が出た疾患を持った人は、カルベジロールの選択が多かった。
ガイドライン上の推奨と実臨床では若干の違いがあった。
言い方を変えると、内的妥当性(ガイドライン)でみるとC群を推奨するが、外的妥当性に当てはめてみるとE群の方が使用が多い。
ということになるのだろうか?
更には似たような文献が2件ありました。
PMID: 29159953
Eur J Heart Fail, 20 (3), 548-556 コホート
カルベジロールの処方は、HF入院の危険性を高め(OR 1.38(95%CI 1.23-1.56))、COPDとHFを併発している患者の平均持続時間を制限した。
さらに、カルベジロール処方の広範な現象が欧州心臓病学会のガイドラインとは異なり、β遮断薬で治療された患者の割合を改善する可能性がある
PMID: 30459608
Front Pharmacol, 9, 1212 2018 Oct 25 コホート
長期フォローアップ期間において、カルベジロールは心不全および閉塞性気道疾患患者のメトプロロール/ビソプロロール/ネビボロール使用者と比較した場合、
心不全入院(HR 1.29; 95%CI 1.18-1.40)および中止(HR 1.06; 95%CI 1.02-1.10)のリスクがより高いことに関連していました。
この様なコホートの結果もあり、実臨床ではカルベジロール処方が多いが推奨するには根拠は弱いと考えられます。
また、別の視点ですが、今回の論文の患者背景でも糖尿病患者の割合が20%前後あったことより、低血糖をマスクしてしまう可能性も考慮すると
心不全に対して必ずしもβ遮断ではなくACE阻害薬を推奨するという選択肢を持ってもいいかもしれません。
あくまで1個人の考え方です。