お薬のこと

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統合失調症に対する向精神薬PRN処方の影響 PMID: 37119226

Kyou Y, et al. Clin Psychopharmacol Neurosci. 2023 May 30;21(2):332-339. PMID: 37119226

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37119226/

【論文のPECO】
P:統合失調症で入院治療を受けた人 n=205
E:向精神薬のPRN薬使用あり n=140
C:なし n=65
O:再入院率、多剤併用率、入院日数
【結果】
入院日数: p = 7.5 × 10^-4 (88.29 ± 71.17日vs58.95 ± 46.86日)
退院時多剤併用率:p = 2.4 × 10 ^-4(48.6%vs21.5%)
再入院率:p = 4.4 × 10 ^-3(45%vs50.8%)
【研究背景】
抗精神病薬の有効性が得られるまで2-4週間程度の猶予が必要となる。
その間に急性期療法暴力性や攻撃性抑制の1つとして、向精神薬によるPRN処方が必要。
その反面、PRN処方により、将来的な多剤併用、高用量処方、有害事象の増加のリスクがある。
向精神薬のPRN使用についての現状を裏付けるエビデンスがないため調査を行われた。
【コメント】
研究背景通り、PRN処方により、多剤併用率の増加、再入院率の増加など患者への負担増があった。
しかし、退院後のアドヒアランスは不明であり、自宅での服薬支援がどのように行われたのか不明であり、そのれによる再入院が増加した可能性もある。
向精神薬のPRN処方の影響が明らかになったが、どの薬剤を選択したのか不明である。依存性が高いとされるBZ系統が多いなどの要因があれば、PRN処方内の薬剤の組み合わせ次第で、結果が異なる可能性もあるのではないだろうか。