お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

勉強会に参加してきました。

2020.10.17(土) 

ミライ☆在宅委員会勉強会 ジェネラリスト薬剤師への道 

 

血栓の出来る機序によって、抗血小板薬と抗凝固薬の選択は異なる。

 

大まかに、血流の早い動脈関連の疾患(脳梗塞心筋梗塞)には抗血小板薬を、血流の遅い静脈関連の疾患(心房細動や静脈血栓症)には抗凝固薬を用いる。

 

今回の講義で学んだ論点として、心筋梗塞後のステント治療に用いられるPCIの後には二重血小板療法(DAPT)が用いられ、漫然と投与される社会的背景があるが、現在の世界的な流れとしてDAPTを行う期間は短縮されつつある。

以前は血栓リスクが高ければ12か月以上もDAPTを推していた傾向があるが、現在では長くても12か月。それ以上は単独に切り替えるのが主流へ。

その時に選択される抗血小板薬はP2Y12受容体阻害薬を推奨されるだろう。 

その理由としてバイアスピリンは他の抗血小板薬に比べて、消化管粘膜や細胞機能障害を有することで消化管リスクが高まるとされているためである。

 

また、心筋梗塞後の心房細動を合併した場合などには抗凝固薬(OAC)を併用することもある。その場合は通常ならば12か月以降は抗凝固薬単独に切り替え。

また血栓リスクが高ければ、単独抗血小板薬(SAPT)+OACの併用とされるケースもある。

 

目の前の患者さんは「出血リスク」が高いのか、「血栓リスク」が高いのかモニタリングしていく必要がある。

出血リスクが高い場合は機序の関係性からもバイアスピリンを服用されている症例が多い可能性がある。

2018年度PMDA副作用報告でも、プラビックス・エフィエントに比べて多く報告されています。

 

血圧が高い場合、出血リスクが高まるので血圧コントロールを行うことで出血に対する予防にも繋がる可能性があります。

高血圧と脳出血の関連性はなんとなく高いのかな?とは思っていましたが、本当に高いのか分かっていなかったので検索してみました。

 

PMID:20489173

PMID:26325559 血圧管理と再発性脳内出血のリスクとの関連 

27/1000人年 vs 52/1000人年

葉状ICH HR:3.53(1.65-7.54)と非葉状ICH HR:4.23(1.02-17.52)

PROGRESS trial.PMID:11589932

相対リスク低減 28%[95%CI:17-38]P<0.0001

PMID:31355878

標準群と比較して、集中群では再発性脳卒中の有意でない率の低下 HR:0.73(0.49-1.11)P=0.15

PMID:12658016 J Hypertens. 2003 Apr;21(4):707-16.

収縮期血圧が10mmHg上がると、脳出血発症リスクが40%上がる (40%下がるって文献にはあるけど)

PMID:24881994 Lancet. 2014 May 31;383(9932):1899-911.

収縮期血圧との関連→脳内出血 HR:1.44 (1.32-1.58)くも膜下出血 HR:1.43(1.25-1.63)

DBPの上昇と関連→脳出血 HR:1.508(1.37-1.64)

 

一部有意差が出ていないものもありますが。おおむね血圧が高いと脳出血のリスクが高まる様子。

 

また、バイアスピリンの1次予防については、有効性がないことが講義でも改めて確認しました。

pmid:25401325

PMID: 30667501 JAMA. 2019 Jan 22;321(3):277-287. 

 

血栓リスクと出血リスク、またDAPTの長期間(12か月以上)の投与について、月曜からの仕事に目を光らしてみようかなと思いました。