糖尿病トライアルデータベースで気になるものを見つけました。
ピオグリダゾン(チアゾリジン系)がPPARγを介して、腎尿細管の近位と遠位でNa再吸収を促進させて浮腫を増加させる
また女性にPPARγの発現が高いことが、女性にピオグリダゾン投与すると浮腫が多い原因になっているのかも?
ここまで調べていたら
チアゾリジン系のインスリン抵抗性改善薬は,骨折を増加させることが知られている。一方,GIPは骨芽細胞を活性化し,GLP-1は齧歯類の骨減少症を伴うモデルでは骨密度を増加させることが報告されており,DPP-4阻害薬は骨代謝を改善し骨折を減少させることが期待されている
Driessen JHM, et al. | 糖尿病トライアルデータベース より引用
と記載を見つけました。
そこにある論文がメタ分析でした。
メタ分析に挑戦してみようと!
PMID:27321347
P:EMBASE、MEDLINE、EMA、WHO ICTRPデータベースを用いたn=36402
E:DPP4阻害薬を服用するのと
C:服用しないのでは
O:骨折リスクは増えますか?
【結果】
DPP4阻害薬vsプラセボ→OR:0.82(0.57-1.16)
DPP4阻害薬vs活性型比較→OR:1.59(0.33-2.80)
PMID:22025784
P:n=9175のメタ解析
E:DPP4阻害薬を投与するのと
C:①プラセボと比べると ②SU剤投与と比べると
O:骨折リスクは増えますか?
【結果】
DPP4阻害薬vsプラセボ→OR:0.60(0.37-0.99)
DPP4阻害薬vsSU剤→OR:0.56(0.33-0.93)
PMID:27943565
P:インスリン以外の糖尿病治療薬が使用された18歳以上の2型糖尿病患者n=328254(DPP4阻害薬使用:46355例)
E:DPP4阻害薬を投与した糖尿病患者と比べて
C:他の治療薬を用いた糖尿病患者は
O:骨折リスクは高いか?
【結果】
DPP4阻害薬使用のすべての骨折リスク:HR:0.99(0.93-1.06)
DPP4阻害薬4.0~8.5年使用した患者の骨折リスク:HR:0.99(0.70-1.41)
4.0~8.5年使用した患者の骨粗しょう症の骨折リスク:HR:0.75(0.52-1.09)
4.0~8.5年使用した患者の股関節骨折のリスク:HR:1.24(0.85-1.79)
骨折リスクを真のアウトカムと判断するべきなのか迷いました。
骨密度やYAMとかならば代用アウトカムと判断しますが。。。
3つの結果を読むと、骨折リスクを上げることも下げることもないと思われます。
(有意差ないので)
インクレチンのうちGIPが骨芽細胞を刺激し骨形成を促進、またマウスレベルではGLP-1はカルシトニン分泌を促し骨吸収を抑制するそうですが、ヒト、サルでは血中カルシトニンを増やさないという話もあるようなので、
骨折リスクの高い糖尿病患者にDPP4阻害薬を積極的に使用してもよいのかもしれません。