臨床推論に記載されている「OPQRST」というツールを用いて患者に聞き取りを行ってみると薬歴が書きやすくなるのだろうか?
と疑問に思ったので実行してみました。
ある日、臨時で頭痛がするので受診をしたという患者さんが処方せんをもってやってきた。
処方内容は、SG顆粒 14回分
さて「OPQRST」ツールを使って症状の確認をしてみました。
O:急に?いつも?→最近痛む
P:どうしたら楽になる?→特にない
Q:どのような痛み?→ズキズキする痛み
R:その痛みは広がる?とどまる?→右側の頭だけ
S:どの位つらい?→今までもあった痛み
T:1日の中で変化ありますか?→痛いときとそうでない時がある
こんな感じでした。
これで考えていくと、その患者さんの頭痛は人生最悪の痛みではないようだし、今までに経験したことのある痛みでした。
頭痛で最悪の事を考えて鑑別に挙げられるものは
②髄膜炎
③脳出血
④高血圧緊急症
⑤高血圧切迫症
①は頭痛時に瞬間的なショックがあることが多いので、経験のある頭痛は当てはまらないだろう。
②は項部硬直が有名なサインだ。首が固くなって動かしにくい。今回はここを聞き取れていない。
③は原因の60%くらいが高血圧によるものだ。これが起こると片麻痺や共同偏視、頭痛が起こるが、この患者さんにその所見は見られなかった。
④は脳浮腫や血圧の左右差、多臓器障害として背部痛、頸動脈怒張などがみられる。この症例に当てはまったときは降圧処置が必要なそうだ。
⑤は④と似ているがどうやら多臓器不全の(-)がサインのようです。急激な降圧処置を行うと脳梗塞を引き起こす可能性が高くなる。
①~⑤の症状に当てはまる部分はないので医師も緊張性頭痛あたりを考えたのだと思われる。
そこで服薬指導として患者に伝えられることとしては
「今までと違う頭痛がきたらすぐに医療機関を受診すること」
これが目の前の患者さんに必要な指導かなと思い伝えました。
SOPAにしてみると。。。
S:ズキズキとする右側の頭が痛いため受診。
O:SG配合顆粒 頓服 14回分
A:経験済みの頭痛(+)→くも膜下出血や髄膜炎(-)。共同偏視や片麻痺の所見(-)→脳出血(-)。以後の頭痛でくも膜下出血など起こる可能性ゼロでないため違う頭痛時、受診勧告必要。
P:1回1包頭痛時にお飲みください。継続する場合はは4~5時間開けて服用しましょう。今後の頭痛で、今までに経験したことのない頭痛や吐き気、呂律が回らないなどの症状があれば医療機関をすぐに受診してください。
たった1症例で1剤だけですが、考えて聞き取りして鑑別して次へ繋げていくことが出来ますね。
これは続けていきます。
参考書籍:ここからはじめる!薬剤師のための臨床推論p33-45
※患者さんの情報の一部分は付け足したものです。完全に同じものではありません。