お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

タモキシフェンとパロキセチンの併用は避けた方がいいですか? PMID:27694571

BMJ. 2016 Sep 30;354:i5014. PMID:27694571

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27694571/

【論文のPECO】

P:タモキシフェン使用中の乳がん患者
E:CYP2D6阻害のSSRIパロキセチン/フルオキセチン
C:CYP2D6阻害の無いSSRI
O:全死亡率
・データベースコホート
【結果】
コホート1(タモキシフェン使用中にSSRIを併用) HR:0.91(0.80-1.04)
コホート2 (SSRI使用中にタモキシフェンを併用)HR:1.02(0.89-1.16)
コホート1+2 HR:0.96(0.88-1.06)
【コメント】
タモキシフェンは強力なCYP2D6阻害剤のSSRIを使用しても、死亡率には差が無かった。しかし、データベースを利用した研究であったため喫煙などその他の交絡因子について除外が出来たとは言い難いだろう。
2010年のケリーらの研究(PMID:20142325)ではタモキシフェンの服用時間の割合が増えるに従い、パロキセチン併用群の乳がん死亡率が高まったという報告もあり、併用の処方を受け取った場合は、疑義照会を行い医師と相談の上で調剤するのがベストだろう。