お薬のこと

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糖尿病性末梢神経障害性疼痛の治療にはどれを第一選択にすると良いですか? PMID: 36007534

OPTION-DM研究
Lancet. 2022 Sep 10;400(10355):810. PMID: 36007534

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36007534

【論文のPECO】
P:糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)、1日疼痛数値評価平均尺度(NRS)が4以上
E/C:アミトリプチリン+プレガバリン(A-P群)、デュロキセチン+プレガバリン(D-P群)、プレガバリン+アミトリプチリン(P-A群) n=140
O:最終週の7日間平均疼痛スコアの差
T:16週間
※AP→DP→PA、AP→PA→DP、DP→AP→PA、DP→PA→AP、PA→AP→DP、PA→DP→AP
アミトリプチリン75㎎、デュロキセチン120㎎、プレガバリン600㎎
1次療法を6週間→直近7日間のNRS3以下は単剤、NRS4以上は2次療法の併用を10週間行う
【結果】
130/140例が1番目のサイクルまで進行
97/130例が2番目のサイクルまで進行
84/97例が3番目のサイクルまで進行

平均NRS:6.6±1.5(6週目)→3.3±1.8(16週目)
<平均NRSスコア軽減>
6週目 2.6(98.3%CI,2.2-3.0)P<0.0001
16週目 3.4(2.9-3.8)P<0.0001
平均差
DP vs AP:-0.1(98.3%CI,-0.5-0.3)
PA vs AP:-0.1(-0.5-0.3)
PA vs DP:0.0(-0.4-0.4)

D-P vs A-P(6週) 平均差 1.5 (0.0–3.1), p=0.016
P-A vs DP(6週) 平均差 7.6(0.4-14.9),P=0.011
A-P vs D-P(6週) 平均差 7.3(0.0-14.7),P=0.017
D-P vs A-P (16週)平均差 1·5 (0.1–3.0), p=0·010

【コメント】
単独でNRS評価が 4 以上の患者は、併用群になることで 6.6±1.5→3.3±1.8 へと低下する疼痛効果が示されたが、併用パータンによる有意差は見られなかった。
このことから、日本の神経障害性疼痛 薬物療法ガイドライン でも推奨されているアミトリプチリン、デュロキセチン、プレガバリンのどれを第一選択に取っても疼痛効果が得られること、単剤で鎮痛効果が芳しくない場合は、併用することで疼痛効果が得られることが分かった。 
2023 年 7 月現在、アミトリプチリン(トリプタノール®)は限定出荷となっており流通状況が芳しくない。その場合の選択肢としてデュロキセチン、プレガバリンは十分に代替薬として提案ができるうるのではないだろうか。