お薬のこと

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80歳以上の超高齢者はしっかり血圧を下げた方がいいですか? PMID:18378519 (HYVET試験)

PMID:18378519
N Engl J Med. 2008; 358: 1887-98. (HYVET試験)

循環器トライアルデータベース https://www.ebm-library.jp/circ/trial/doc/c2001018.html

【論文のPECO】

P:80歳以上、持続性収縮高血圧(160-190mmHg) N=3845
E:降圧治療(150/80mmHg未満目標)、インダパミド(1.5mg)→(下がらない場合+ペリンドプリル2㎎or4mg併用)N=1933
C:プラセボ N-1912
O:致死的または非致死的脳卒中
【結果】
12.4%vs17.7% 未調整HR 0.70(0.49-1.01) P=0.06
脳卒中死 HR 0.61(0.38-0.99) P=0.046
心不全 2.2%vs3.1% HR 0.72(0.30-1.70) P<0.001
心血管イベント 33.7%vs50.6% HR 0.66(0.53-0.82) P<0.001
●試験前にはすべての服薬を中止している。
●除外:降圧治療の必要な心不全痛風認知症、日常的に介護が必要な人、K<3.5mmol/LかつK>5.5mmol/L
【コメント】
超高齢者に150/80mmHg目標の降圧治療はイベントを下げそうである。
しかし、80歳以上の超高齢者で、試験前に全て中止できる群は現実には少ないのではないだろうか?(中断できない群は除外されていく)→純粋に高血圧だけの患者は少ないと考えられる。
また多くの書籍でも指摘されているように、日本では利尿薬を先だって治療を開始するのはあまりない点もあり、この結果をそのまま今の治療に反映させるのは注意が必要かもしれない。