お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

20190923薬ゼミ講習会 行ってきたよ②

ロールプレイを5回行いました。
そのうち1件気になったもので、調べたもの

 

Rp) クレストール2.5㎎ 1錠
1日1回 朝食後 28日分

今回の来局で2回目。
40代男性
LDLコレステロール:180(前回)→142(今回)
薬はあまり飲みたくない、その代わり黒烏龍茶でもいい?
この間、肩こりがあって、そういえば前回の薬剤師の説明で「なんとかユウカイショウ?」みたいな怖い副作用があるって言われて
寝て起きたら肩こりは治ったけど、またあるのかと思うと怖い。飲みたくない

 


初回の服薬指導から反省すること
①横紋筋融解症という言葉をそのまま患者さんに伝えてしまった。
②服薬によるメリット、服薬しないことのデメリットを上手く伝えきれていなかった。

①について。
専門用語で伝えず、「筋肉痛」などと伝えるべきだった。
「肩こり」「寝て起きたら治った」の情報からもっと引き出すべき
→横紋筋融解症の診断基準は主にCK。 
また筋症状は下肢近位筋の圧痛と筋力低下を認め、両側対称性(PMID:2406177)という情報もあることから、上肢は可能性が低いかも?(絶対とは言えない)
またミオグロビン尿(赤~オレンジ尿)の有無を聞けたらいいかもしれない。

②について「薬をあまり飲みたくない」は病識がない事が原因の可能性もある。


①家族に、心筋梗塞脳梗塞で倒れたor亡くなった方がいるのか?確認
今回40代で若いので、家族性高コレステロールも考慮してもいいいかも? 
薬剤師が、投薬時に見れるのは、眼瞼黄色腫やアキレス腱黄色腫などを観察してみる。

アキレス腱肥厚のレントゲン撮影⇒感度:64.1% 特異度:98.6%(家族性高コレステロール血症診療ガイドライン

<FH(家族性高コレステロールヘテロ接合体の診断>
①高LDL(未治療時;180㎎/dL以上)
②FHあるいは、早期冠動脈疾患の家族歴(2親等以内)
③腱黄色腫、皮膚結節性黄色腫
⇒2項目以上あてはまる場合⇒感度;94.5% 特異度:99.1%
PMID:23095241

服薬におけるリスク減少について⇒MEGAstudy PMID:17011942

Primary prevention of cardiovascular disease with pravastatin in Japan (MEGA Study): a prospective randomised controlled trial. - PubMed - NCBI

 

【論文のPECO】
P:n=7832 40~70歳の男性、閉経~70歳の女性 総コレステロール:220~270㎎/dL、日本人
(除外;家族性高コレステロール血症、CHD、脳卒中の既往歴あり)
E:食事療法+プラバスタチン
C:食事療法のみ
O:1次アウトカム⇒心筋梗塞、心突然死、狭心症、血行再建術
2次アウトカム⇒脳卒中脳梗塞、死亡率など

【結果】
<一次アウトカム>
HR:0.67 (0.49 to 0.91) P=0.01 NNT=119
心筋梗塞:HR:0.52 (0.29 to 0.94)P=0.03 NNT=255
心突然死:HR:0.51 (0.18 to 1.50)P=0.21
狭心症:HR:0.83 (0.56 to 1.23)P=0.35
血行再建術:HR:0.60 (0.41 to 0.89)P=0.01

※2次アウトカム割愛します

参考:MEGA_循環器トライアルデータベース

 

【感想】
冠動脈疾患のない人に対するプラバスタチンの投与で、心筋梗塞を減らすことが出来た→1次予防に使えるかも。
しかし、除外疾患で糖尿病がないので、真の高コレステロール血症の人だけの試験とはいいがたいのでは?
全死亡率が1次アウトカムに無いのは、真のアウトカムと言えないのかもしれない。

こういった文献もあるので、今回はプラバスタチンで、今症例はロスバスタチンなのでそのまま当てはめることは出来ないが、
スタチン系という(大きな)くくりでみると、服用にて将来的なリスクを減らすことができること(1次予防あり)もあるというニュアンスも含めて説明、服薬支援が必要だろう。と考えられる

 

 

黒烏龍茶については、また後日(予定・・・)