LeCouffe NE,et al.N Engl J Med. 2021 Nov 11;385(20):1833-1844.PMID:34758251
【論文のPECO】
P:急性虚血性脳卒中
E:血管内治療(EVT)のみ N=273
C:血管内治療+アルテプラーゼ N=266
O:無作為化後90日(±14日)での修正ランキンスケール(0:障害になし ~ 6:死亡)
ランダム化→している
盲検化→していない
1次アウトカム→明確
真/代用→代用
ITT→している
【結果】
非劣性マージン:0.8(下限マージン)
スコア中央値 オッズ比 0.84(95%CI:0.62-1.15;P=0.28)
調整オッズ比 0.84(95%CI:0.61-1.16)
<安全性>
90日での死亡率
20.5% vs 15.8%(調整オッズ比 1.39(0.84-2.30)
症候性脳内出血
5.9% vs 5.3% 調整オッズ比 1.3(0.60-2.81)
<背景>
年齢:72歳vs69歳
虚血性脳卒中:17.2%vs16.5%
心房細動:31.5%vs23.7%
糖尿病:14.7%vs18.8%
【コメント】
血管内治療にアルテプラーゼを加えてもスコアを改善させず、非劣性マージン0.8を上回っていたため非劣性も無し。
また、死亡率と症候性脳内出血のどちらも統計学的有意差は示されませんでした。
EVTにアルテプラーゼを加えることは現時点で患者に利益をもたらすとされ標準治療になっていますが、アルテプラーゼを使用できない施設もあるでしょう。
そういった施設の場合は、EVT処置のみでも標準的治療と同等の価値があると考えても良いのでないだろうか。
※EVTとは:PCの技術を活かして、狭窄部位をバルーン(風船)やステント(金網の筒)を用いて広げる治療法