お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

血圧コントロールを厳格にすると、転倒が増えますか? PMID: 31778222

Berlowitz DR, Foy C, Conroy M, et al. Impact of Intensive Blood Pressure Therapy on Concern about Falling: Longitudinal Results from the Systolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT).
J Am Geriatr Soc. 2019 Nov 28.
PMID: 31778222

【論文のPECO】
P:N=2313 50歳以上(平均年齢69歳)
E:血圧の厳格コントロール(SPB120mmHg)N=
C:標準コントロール(SPB140mmHg)N=
O:転倒しやすくなるか?
【結果】
E群とC群で、転倒の差はなし(P=0.95)
75歳以上で転倒スコア増加(P<0.0001)
年齢別ではE群とC群に差は見られなかった(P=0.55)
【コメント】
PMID:26551272 のサブ解析。
アブストのみ閲覧のため詳しい割り付け、解析方法が分からない。
またE群とC群のN数も不明、本試験の有害事象の人を抽出したものなのでしょうか?


●50代以上で見ると転倒の差はないようだが、75歳以上に限定すると増加する様子。
後者に対する厳格血圧コントロールは転倒リスクにて、廃用症候群などにならないように配慮が必要かもしれない。
本解析の方でも有害事象の中で、E群とC群での転倒負傷の差は無かったので概ね同じような結果なのかも。
QQ受診:1.00(P=0.97) 重篤→0.95(P=0.71)

死亡率というアウトカムで見ると、120mmHg にした方が良さそうですが、ある程度の年齢の場合はフレイルやサルコペニアといった筋、栄養状態も包括して考えていくと、厳格すぎるのは転倒リスクになるかもしれません。(そこからの寝たきりへ…)

個々のリスクに合わせた、良い塩梅を探していきたいですね。