高齢女性
今日の血圧:130台
特に症状は変わりなく過ごせている。
なんでこんなに高血圧に効きそうな薬を沢山飲んでいるんだろ?
2つくらいでいいじゃね?
と思ったので、調べてみた(処方内容は一部分フェイクです。)
さて、
バルサルタンは何を意図して使っているんだろうか?
カルベジロールから慢性心不全か?と探ってみる
すると、
PMID:11759645
A randomized trial of the angiotensin-receptor blocker valsartan in chronic heart failure. - PubMed - NCBI
Val-HeFT study なるものがヒット
慢性心不全に対するバルサルタンの使用
P:NYHA分類Ⅱ~Ⅳ 平均年齢:62.4±11.1 2週間以上のACE-I、利尿薬、β遮断を使用している人
E:バルサルタン(n=2511)40㎎×2回/日→目標:160㎎×2回/日
C:プラセボ(n=2499)
O:全死亡率、心不全による入院、合併症
全死亡率:1.02(0.88-1.18)
全死亡率+合併症:0.87(0.77-0.97)
心不全による入院:13.8%(346例)vs18.2%(455例)
NYHA分類改善:23.1%vs20.7%
ACE-I+β遮断+バルサルタン→死亡率↑、合併症↑
使用薬剤
エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、ラミプリル、キナプリル
カルベジロール、メトプロロール、アテノロール
PMID:20730060
www.ncbi.nlm.nih.gov
DESTINY-HF study
慢性心不全にバルサルタンの分1vs分2どっちが有効か
結果:
安全性、有害事象、NYHA分類変化、BNP、PRA(レニン活性)差は無し
Max投与量=320㎎/日
結論
どっちでもいいかも
がヒットした。
なるほど、慢性心不全に対するトライアルはあるので、そこを狙っての可能性も考慮できますね
次はシルニジピン。
最初 シルニジピン 慢性心不全で検索したら、ミトコンドリアでの~と出てきたので、まだエビデンス的なものは出ていないのかなと
そこで、慢性心不全にこだわらずに、この薬自体はどういう患者さんに使うのか検索
N型のため交感神経からNAd分泌↓で心拍数減少効果を考えられる。
心拍数が下がるとなにがいいのかな?
①PMID:11337213
www.ncbi.nlm.nih.gov
心拍数が高いほど、死亡率が高くなった。
bpm60~69群:死亡率→14.3%、
bpm90以上群:死亡率→38.2%
2つから相対リスク:2.68
③PMID:20801500 慢性心不全患者(冠動脈疾患あり)に対してイバプラジンを投与
bpmが大きいほど、心血管イベント率上昇傾向あり
があった。
つまり
心拍数が高いと心血管イベントが上がるかもしれないし、死亡率が上がるかもしれないので、下げておいた方が良さそうだ。
じゃあ本当にシルニジピンが心拍数を下げる効果あるのか?
PMID:23339732
早朝高血圧の患者に対するシルニジピンの効果
高血圧(135mmHg≦)心拍数(70bpm ≦)が高い患者さんの割合:12週間で46.5%→24.4%に減った。
ほうほう、心拍数が70bpm以上の患者さんには使ってもいいかもしれないですね。
グラフを見ると血圧と心拍数が高いほど下がる幅が大きいのは気になります。
カルベジロールは以前まとめたように
①US-Carvedilol PMID:8614419
②COPERNICUS PMID:11386263
Effect of carvedilol on survival in severe chronic heart failure. - PubMed - NCBI
で慢性心不全に対する有用性が出ていて、
用量的には、低用量で使うと。
ということは、まとめると
①高齢女性
②慢性心不全の疑いあり
③NYHA分類Ⅱ~Ⅳのどこか
④心拍数は多めかも
⑤まだ心筋梗塞や心房細動は起こしてなさそう
⑥血圧は落ち着いている
感じなのかな?
結構もりもりの処方な感じがしたけれど、症例からみると必要な薬なのかもしれないですね。
これを「ポリファマシー」と捉えて安易に減量方向に考えてしまうと危険かもしれないですねー