Luberto CM,ESC Heart Fail. 2020 Oct 9;7(6):4206–12.PMID:33034157
【論文のPECO】
P:慢性心不全 平均67.4歳
E:太極拳
C:健康教育
O:うつ病症状・QOL・社会支援・心臓運動に対する自己効力感・アクティビティ変数・ストレス対処能力
【結果】
自己効力感とQOL→(r=0.31、P=0.05)
社会支援とストレス対処能力→(r=-0.22、P=0.13)
<ベースライン>
男性≒64%
NYHAⅢ:62%vs64%
うつ病の症状:EDITS Profile of Mood States(EPOMS)-Briefスケール
QOL:ミネソタ心不全アンケート(MLHFQ)、スコアが低いほど優れている
ソーシャルサポート:スコアが高いほど認知されているソーシャルサポートが高い
心運動の自己効力感):目的達成する能力に対する自分の感覚・スコアが高いほど自己効力感が高い
アクティビティ変数:
ストレス対処能力:スコアが高いほど一貫性が高い
※ Sense of Coherence (SOC) の略で、 日本語では、 「首尾一貫感覚」 と訳されています。
人生で起こる様々な出来事を一貫して捉え、つじつまを合わせて、きちんと行動ができるという感覚のことです。ストレス対処能力とも言うらしい。
【コメント】
太極拳を行うことで直接の心不全改善効果や入院を減らすなどの効果はないが、
太極拳活動を通して、社会交流が増え社会支援(ソーシャルサポート)によるストレス対処能力が高まったり、QOLが高まることが示された。
心不全は、入退院を繰り返す事で死亡率の増加に繋がるなど、加齢によって増えていく面もあり慢性疾患となる可能性があります。
慢性疾患に対して、薬を飲むことや食生活、運動を入院中に管理された状況下では継続することが出来ても、退院した後に維持できないことが多々見られます。そのことから、慢性疾患患者の自己管理の確立やアドヒアランスの向上を図るために、「認知行動療法」が有効であると言われています。
その中でも、「self-Efficacy 理論」が行動を予測するものとして重要ではないかと考えられています。
「self-Efficacy」とは、自己効力感と訳され、ある結果を生み出すために必要な行動をどの程度上手く行うことが出来るかという個人の確信をいいます。(Bandura A,1977)
急性心筋梗塞後の運動習慣に対する self-Efficacy に対する先行研究において、運動への介入により self-Efficacy値が高い群は、低い群と比べて退院後の運動習慣が有意に継続されていました。
その結果が直接二次予防や予後に繋がったことまでは結論づけられていないが、可能性は十分に考えられるだろう。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaen/18/2/18_34/_pdf/-char/ja