お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

構造式ワークショップin 大阪に参加して

平成30年4月8日、兵庫医療大学のワークショップに参加しました。in大阪
テーマは構造式。

構造式の類似性
水溶性と脂溶性
油水分配係数
水和物
イオン性、非イオン性(分子性)
体内吸収性
キレート形成
ADME

こういったワードが出てきました
殆どが学生のときに学ぶキーワードですね。それを使えてますか?読めてますか?いや、寧ろ読んでいますか?

大学で習うことをどうやって現場に繋げていくのか?

新卒さんに指導する時や次世代にどうやって繋げていくのか?残していくのか?

今まで何となく曖昧だったり、使い方が分かっていなかったり、実例が見えにくかったりしていた問題が今回のワークショップで浮き彫りになりました。

学ぶ機会を得ることで僕ら薬剤師の強みは伸ばすことが出来るのかもしれません

でも、なんだか上手く繋がっていない

それはきっと、時代が、僕らが、これから繋げていけ!と言っているのかもしれない。

明日からの現場に繋がる学びを頂きました。

103回薬国試のてきとーレビュー&感想 

問205
特異度と感度:論文を読もう!というメッセージか?

問207
共役系の記載が何を意味しているのかだね。
そこから問206で選ばない選択肢が出てくる

問209
まさかの同じことを別の方向から聞いている問題とは

問210
セフゾンとインクレミンのキレート形成で併用させない根拠が構造式から予測できるか見てる

問211
小児の薬用量が体重換算から大体が頭に入っているか?
キレート形成の時の指導について
抗菌薬の適正使用、耐性菌防止について。。。世の中の流れを反映?

問291
添付文書どおりの指導ならこの正解なのかな?
フルカリックとか味チョーまずいからね、僕は間に味のついた飲み物を挟んで飲んだなぁ

問222
医療用だけでなく、日常製品にも対応しましょうの質問を想定しての問題?

問224
モーラステープの光線過敏症きました!! ここでも共役系の意味とローンペアの意味が関わってきますね

問226
健康食品でCaの摂取にかかわる生理学的機構が頭に入っているかってことか
ただ、先日CaとビタミンDサプリメントの摂取は大腸がんの前段階ポリープ発生リスクを上昇させるかもしれないレビューがでました。
なんというタイミング(笑)
PMID: 29496722

問230
きたー!! 脚気ですよ!! 日本での主な比較試験の先駆けとされる高木先生による研究がきっかけで紐解かれ、
鈴木梅太郎先生によるオリザリニン抽出が成功したのに、ノーベル賞が受賞できなかった研究がほぼ決め手で明らかになった脚気です!

問236
生活指導について、糖尿病についてどこまでわかっていて指導できるか?患者さんの生活スタイルをどこまで把握できて指導できるか?
これはかかりつけ薬剤師の案件を示しているのか?

問240
これからの超高齢化社会認知症患者の増加に伴って生じるであろう(もう多い?)薬物毒性問題か。
ER対応の薬剤師の先生お疲れ様です。

問246
そうですね、確かα1遮断薬の導入1週間~4週間が一番起立性低血圧の頻度が高いようです。
ナフトピジル<タムスロシンの頻度みたいですね。あとはテラゾシン>タムスロシン
実際に在宅でタムスロシンのむ前から立ちくらみある人に導入されたので、もし起立性低血圧頻度が高いならば、
ナフトピジルへの薬剤変更の処方提案しようとしたんですが、意外に立ちくらみ起こらなくて大丈夫だったという症例を経験しました。
PMID:24192967
PMID:19120513
PMID:10364649

問248-249
ドリエルの問題かと思ったら違いました。
選択肢にゾルピデムとゾピクロン2つ入れたら面白かったのに・・・

問250
さりげなく横紋筋融解の副作用が書いてあるし、眼圧は逆が書いてある。
ここから隅角緑内障の問題に絡んだりしたら面白いんだけどなぁ。
日薬の学会発表で様々な調剤薬局緑内障カードの普及に力を入れている報告がありました。 
ただ単に緑内障→抗コリン系禁忌!の時代じゃないんだなって世の流れを感じました。

問258
さりげなく皮膚科を受診した場合の相互作用ですね、爪白癬治療は普段外用薬が多いですが油断ならないので、
頭の隅っこに置いておかなければなりません。

問260-261
インターフェロンフリー治療が主流のこの時代にあえてのインターフェロン治療とは!!

問262-265
ガイドラインでも記載のある間質性肺炎などでホリナート投与に対する対応。
そこで、プレドニゾロンが選択肢にある理由とST合剤をからめて出題出来たらより面白いかもね

問272-273
おくさーん!!

問276-277
AFについて。 非弁膜症関連でDOACが出るのは来年か? CHADS2スコアが載ってきてもおかしくない問題ですね。

問278-279
サンディミュンからネオーラルへの意図的な変更ですね。
間違えて調剤したとかそういう話じゃなかった。 
ちなみにジェネリックだとサンディミュンを変更しようとすると存在するジェネリックはネオーラルのジェネリックという罠があるので注意です。

 

疲れたから今日はここまで。

NSAIDSの胃粘膜障害をもう一度 めも。

NSAIDは胃腸障害などの副作用防止のために、空腹時の投与は避ける』

 

うん。有名というか薬剤師的には常識。

 

理由は?

胃粘膜保護のプロスタグランジンを減らすからだろ?

ええ、そうです

 

主に、

①胃粘膜上皮細胞におけるCOX-1阻害によってPGI2、PGE2(胃粘膜細胞保護作用ある)生成減少によるもの。

 

もう一つ

②経口投与時はNSAIDが直接胃粘膜に接触することで局所刺激も関与する。

 

はて、どうやってどうして局所刺激するのか?

『酸性条件下で生じる』

********抜粋?引用********

酸性NSAIDは胃腔内PHが酸性条件下で非イオン状態

脂溶性になる

→細胞膜透過性up↑

→細胞内に蓄積

→粘膜上皮の破綻

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/106/11/106_11_1575/_pdf

********

参考としてロキソプロフェンで見てみると、

f:id:nitrotake8:20180305154358p:plain

分配係数 (※Kが大きいほど脂溶性が高い)

********ロキソニン添付文書より引用********

1-オクタノール PH=1.2 →K=190

        PH=6.8 →K=0.82

クロロホルム  PH=1.2 →K=87

        PH=6.8 →K=0.95

********

酸性条件下で脂溶性が高いですね!!

 

では、空腹時の服用時に牛乳を飲んでおきましょう!って意味があるのかな

牛乳のPHって果たしてどのくらいなのか?調べてみると

PH=7 くらいだそうです。

 

ちなみにP=7のほかの飲食物は

f:id:nitrotake8:20180305154655p:plain

 

やはり水道水は適正ですね。

 

では、イオン性になりそうな飲食物は?

 

f:id:nitrotake8:20180305154607p:plain

 

参考:http://tooth-health.mjapa.jp/ph-value-of-the-main-foods.html

 

ほうほう。服薬指導時にコーヒーやスポーツドリンクもダメと伝えるべきかもしれませんね。

スポーツをしていて、打撲などケガしてその場で痛み止めを服用するときに、目の前にあるスポーツドリンクで服用してしまうと胃粘膜障害を引き起こすきっかけになると考えられます。

ただ、一回だけの服用がどのくらいのリスクになるのか分かりませんでしたが、繰り返しスポーツドリンクでのNSAID服用は推奨できません。

また、

論文検索で「Sports Drink NSAIDS gastric ulcer」などで検索しても特に引っかかるものはありませんでした。

検索するまでもない感じですかね?

 

ビラスチンのめも。

<ビラスチン>

検索「bilastine」 カスタマイズ;RCT、Free full text →9件

日本人慢性自発蕁麻疹患者におけるビラスチンの有効性と安全性

PMID:27599913

www.ncbi.nlm.nih.gov

P:18-74歳、304人、

E:ビラスチン10mg(n=100人)20mg(n=101人)

C:プラセボ(n=103人)

O:TSS(総症状スコア)

二重盲検、日本人対象、RCT

【結果】

2週間でのTSS変化→プラセボと比べて有意に減少して差が認められた。

f:id:nitrotake8:20180304024732p:plain

10mgvs20mgは有意差が無かった。

f:id:nitrotake8:20180304024755p:plain

2次分析では10㎎の方が有意にスコア減少した。

*********************

PMID:27475625

www.ncbi.nlm.nih.gov

P:2年以上花粉症の人、IgEクラス2以上、花粉症の抗H1治療受けている人、20-60歳、n=504

E:ビラスチン10㎎(126人)、ビラスチン20㎎(126人)

C:プラセボ(126人)、フェキソフェナジン(126人)

O:TNSS(全鼻症状スコア)

①鼻漏 ②くしゃみ ③鼻閉塞 ④鼻の痒み 0~4で評価

【研究デザイン】

f:id:nitrotake8:20180304024818p:plain

f:id:nitrotake8:20180304024832p:plain

f:id:nitrotake8:20180304024845p:plain

f:id:nitrotake8:20180304024900p:plain

【結果】

1日目<プラセボとの差>

  • ビラスチン10:14.5(10.7~18.4) P<0.001
  • ビラスチン20:16.2(12.3~20.1) P<0.001
  • フェキソフェナジン:12.0(8.1~15.8) P<0.001

<フェキソフェナジンとの差>

  • ビラスチン10:2.6(-1,3~6.4) P=0.194
  • ビラスチン20:4.2(0.4~8.1) P=0.032

<ビラスチン10との差>

ビラスチン20:1.7(-2.2~5.5) P=0.395

 

2日目<プラセボとの差>

  • ビラスチン10:26.4(20.4~32.4) P<0.001
  • ビラスチン20:24.5(18.5~30.5) P<0.001
  • フェキソフェナジン:25.3(19.4~31.3) P<0.001

<フェキソフェナジンとの差>

  • ビラスチン10:1.1(-4.9~7.0) P=0.730
  • ビラスチン20:-0.8(-6.8~2) P=0.789

<ビラスチン10との差>

ビラスチン20:-1.9(-7.9~4.1) P=0.540

*********************

1日目:プラセボとの差は有意、各薬剤間での有意な差はない

2日目:プラセボとの差は有意、各薬剤間での有意な差はない

*********************

ビラスチンは薬物間での差は有意な結果が出ていないが、痒みと鼻症状どちらも有意な結果は得られた。プラセボよりは各症状スコアを統計学的に有意に緩和してくれるということだ。

しかし、現時点で多くの抗ヒスタミン薬がある中で最初に選ぶか(第一選択か)と言われれば、今のところ選ばないだろう。

特徴

食事によって吸収が影響される

→空腹時って意外と飲むタイミングが難しい。

→一包化するときにはまとめられない。

tmaxが1時間

→急性に痒くてしょうがない時に飲めば1時間くらいで効いてくる。

→ほかの1時間くらいで効いてくる抗ヒスタミン薬は?

アレロック1h、ザイザル1h(5㎎)、ジルテック1h、ルパフィン1h

グレープフルーツ(GFJ)で吸収阻害される

→ビラスチン血中濃度低下

 

ゾフルーザの作用機序を描いてみた

ゾフルーザ(パロキサビル)の作用機序を読んでもよくイメージが掴めないので自分なりに絵を描いてみることとした

********作用機序********

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性を選択的に阻害することで宿主細胞由来のmRNA前駆体を特異的に切断する。

*********************

とはどういうことなのか? メーカーのホームページを訪れてみたがいまいち分からない。カラーすぎて何が何なのかわからない。

こんな時は原点に立ち戻って、セントラルドグマから復習しよう。

 

f:id:nitrotake8:20180301010018p:plain

この流れがセントラルドグマ

で、mRNAが出来るのを阻害するのだから、転写を阻害するということですね。

では、転写をズームアップして見てみると、以下の図のようになる。

f:id:nitrotake8:20180301010046p:plain

スプライシングにエンドヌクレアーゼが使われているようです。

ここを阻害するんですね。そして「キャップ依存性」とは最初に転写したときに5′位末端にキャップ構造を持つ7-メチルグアノシン、3′位末端にポリA構造(150個のアデニル酸)が結合されます。

スプライシングに利用されている5′位キャップを目印にして内部から切っていく酵素(=エンドヌクレアーゼ)を阻害している。

だから結果的にウイルス由来mRNA合成が阻害される

f:id:nitrotake8:20180301010120p:plain

絵を描くとおそらくこの機序だと思われる。

まだまだ誤っている箇所があったら教えてください。

今日のクリニカル・クエスチョン

症例
男性、50歳、ほかの疾患なし

【背景】
健康診断で血圧が高いことを指摘され、内科を受診。
内科で血圧測定の結果収縮期170mmHg以上あり

処方
ニフェジピンCR20㎎ 1錠
朝食後 4日分

【指導】
血圧低下による立ちくらみ、ふらつき生じる可能性あり→注意喚起
飲食物による相互作用あり→GFJの摂取避けてと指導

【考察、疑問など】
CQ1:なぜニフェジピンから開始したのか?
CQ2:なぜCCB(カルシウム拮抗薬)から開始したのか?
CQ3:アムロジピンじゃないとするのはどう考えるか?

①高血圧ガイドライン2014年第一選択薬
ARB/ACE-I、CCB、(少量)利尿薬

②日本でスタンダードに用いられているものはCCB
→利点:糖代謝、脂質代謝に影響を及ぼしにくい
→利点2:臓器保護作用あり

③CCBにおけるジヒドロピリジン系の課題は反射性頻脈
→長時間作用型のCCB緩徐に血圧を下げる作用で反射性頻脈軽減
→長時間
アムロジピンorニフェジピン(12~24時間作用型)が適す

④収縮期170mmHg以上と高い
→Ⅱ度高血圧にあてはまる

(ここから推測)

アムロジピン5㎎はCCBにおける標準的な立ち位置(比較に用いられることが多い)
アムロジピンには適する血圧じゃない?
アムロジピンより降圧力強くて、反射性頻脈が少ないニフェジピンを選択?
→投与初期なので20㎎を選択(40㎎の規格もあり)

本日のクリニカル・クエスチョン

症例
【背景】
80歳、女性、心臓疾患あり、糖尿病なし
<服薬歴>
エリキュース2.5 1日2回 朝夕
ネキシウム10
メインテート2.5
ニコランジル5

【考察】
<CHAD2スコア>
2~3点
心機能低下による心原性脳梗塞発生を抑制するために(起こさないために)服薬。
<OUTCOME及びクリニカル・クエスチョン>
→①服薬よって死亡率は減少しますか?
→②80歳にDOACは必要ですか?
→③DOACによる出血リスクはどのくらいですか?
→④脳梗塞はどのくらい防ぐことが出来ますか?
⑤抗不整脈薬が出ていないのは何故だと考えますか?

 ⇒⑤メインテート(ビソプロロール)をレートコントロールに用いている。心房細動におけるレートコントロール
~引用開始~https://www.jstage.jst.go.jp/article/jse/33/5/33_458/_pdf
β遮断薬には多くの種類があるが,これらのなかでレートコントロール療法に用いられることが多いのは,ビソプロロール,カルベジロール,メトプロロール,プロプラノロールである 9).
特に,ビソプロロールとカルベジロールの使用頻度が高い.ビソプロロールとカルベジロールの薬理作用は,両極端である.ビソプロロールは心臓に対するβ遮断作用のみを有しているため “ピュアβ1遮断薬 ”,カルベジロールは心臓(β1)以外にもβ2やα受容体に対する作用、弱いながらもイオンチャネルに対する作用,さらには多くの付随的な作用を有するため “マルチβ遮断薬 ”と名付けると,両薬剤の違いを容易に理解することができる 9).
両薬剤の使い分けのポイントは,レート抑制効果の程度である.ビソプロロールはカルベジロールと比較して,レート抑制効果が圧倒的に強い.

具体例を考えて考えてみました。

参考になれば幸いです。