お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

NHKスペシャル 血圧サージの話題から論文を読んでみた

こんにちは。 ご訪問ありがとうございます。

本日は、10/29のNHKスペシャルで取り上げられた「ハンドグリップ法」について取り上げてみたいと思います。

この放送を実際に見てはいないのですが、「タオルのハンドグリップ法で握るだけで血圧が下がる」とツイッターでも話題になっていました。

 

では、ここでPECOを立ててみます。

P:高血圧の患者が

E:ハンドグリップ法を行った場合と

C:ハンドグリップ法を行わなかった場合で

O:死亡率が変わりますか?

主要アウトカムとして・・・死亡率、心血管イベント発生率

副次的アウトカムとして・・・血圧変化

 

こんな感じでしょうか?

では実際に検索してみます。

キーワード「handgrip hypertention 」

www.ncbi.nlm.nih.gov

PMID:25386422

こちらの論文がヒットしました。 

P:健康な20~40代

比較試験ではない

n=30

除外:高血圧、喫煙、投薬、急性または慢性の病気になったひと

収縮期血圧拡張期血圧の両方が有意に低下した(p<0.001)

【解説】

この試験は2群間での比較は行わず、同じ人物の運動前後で見ているので「パラメトリック法」で「対応のあるt検定」である。

P値0.05と設定→P<0.001より帰無仮説は棄却できる→「有意差あり」と判断

【コメント】

有意差が出ましたが、対照群をおいていないためバイアスが起こりやすく観察者による主観的部分が大きいためエビデンスレベルは低い。

 

次は比較をしたものを探すため、RCTで設定して「handgrip blood pressure」で検索

www.ncbi.nlm.nih.gov

PMID:28622156

アブストラクトしか読めなかったです。

研究デザイン:無作為(RCT) 

P:75人の高血圧患者

E:ハンドグリップトレーニング毎週5回

C:①偽ハンドグリップトレーニング毎週5回、②1週間に3~5回30分の有酸素運動

O:オフィス血圧、24時間血圧、全身血管抵抗

統計学的な有意差はないようです。

 

さらにもう一つ

www.ncbi.nlm.nih.gov 

PMID:28033302

研究デザイン:盲検化されている

P:35~65歳の高血圧(収縮期BP≧120mmHg、拡張期BP≧80mmHg)患者40人、男性=15人、女性=25人

E:(5%の強度ハンドグリップn=20、30%の強度ハンドグリップn=20)介入前

C:(5%の強度ハンドグリップn=20、30%の強度ハンドグリップn=20)介入後

O:血圧

脱落:あり。40人中2人脱落

介入後:収縮期BP 129±15%MVC、126±16%MVC(95%CI -13.14~6.66; =  0.51)

介入後:拡張期BP 75±9および71±9(95%CI -9.32~2.21; =  0.22)

有意差はないと判断できる。

※介入がなんの「介入」なのかいまいち分かりませんでした。

 

【結論】

3つの研究を見てみて、一時的に血圧を下げる効果はあるが、あくまで「一時的」であり真のアウトカムとして考える、心血管イベントや死亡率まで影響を及ぼすほどの結果には至らないと考えられる。

運動を習慣つけるきっかけになるかな?くらいの印象でよいのではないだろうか

 

 

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

間違って解説している部分があれば教えていただければ幸いです。

 

 

保険証は何故見せなきゃいけないの? 

保険証はなんでまた見せなきゃいけないんだ?!!

調剤薬局で働いたことのある薬剤師さんや事務さんならばこの一言を聞いたことがあると思います。

もしかしたら、患者さんの中にも思っている方がいらっしゃるかもしれません。

今回は『何故?』を2つに分けて説明していきたいと思います。
①保険証ってなに?
②病院と薬局って違うの?

①まず、『保険証』ってなんですかね?

患者さんは『被保険者』といいます。
『被保険者』はサラリーマンならば会社に保険料を払っています。その証明として『保険証』を交付します。
その会社を『保険者』といいます。

例えば、3割負担の場合、残りの7割が必要になってきます。残りの7割をどこに請求するのか?という事になります

病院やクリニック、調剤薬局などの医療機関は、2つの機関に請求を行います。
社会保険診療報酬支払基金
http://www.ssk.or.jp/smph/index.html
国民健康保険団体連合会
http://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/(東京都)

2つの機関を通して、『保険者』に請求が行きます。
そして
『保険者』→『支払基金』『団体連合会』→『医療機関』の順でやっと病院や調剤薬局に支払われて行きます

f:id:nitrotake8:20171028130439p:plain

②病院と薬局って違うの?
違うんです(博多華丸さん風に)

結構、患者さんの中でさっき病院で見せたからいいじゃん!!めんどくさいなー!!
と仰る方がいらっしゃいます。気持ちは分かります。すごーく分かります

しかしながら、病院と薬局は繋がっているようで繋がっていないんです。
患者さんの中に病院やクリニックの側にある調剤薬局とは全く経営的にも構造的にも繋がっていません。『独立』しています!

そんな独立した調剤薬局に、医療機関から患者さんの保険証情報が流れてきたら、恐ろしいですよね?
だから、調剤薬局は患者さんの保険証情報は全く知らないのです。

医療機関から処方せんを持ってきていただくと、処方せんに保険証情報が記載されています。
これが『間違っている』ことがあるのです。(保険証を確認して入力するのは人間ですからね、エラーもあります。ええ、結構)

保険料を正しく請求をするためにも、個々の患者さんに保険証の確認をさせて頂いております。

今回は保険証というキーワードでお話しましたが、乳児医療証や各障害を証明した医療証もこの話に含まれてきます。
どうか、患者さんと医療機関が気持ちよく過ごせるようにお互いの理解を進めていけたら嬉しいです。

各吸入薬の説明動画まとめ

今回は、吸入薬の吸い方についてです。
といっても吸いかたを文字で説明するのは難しいです。
そこで随時、各メーカーさんの吸入動画をまとめていきます。
ここのページ飛べばとりあえず!となれば幸いです。

ICS+LABA
『アドエア』
エアゾール
http://kusurigsk.jp/pc/aaa/index.html

ディスカス
http://kusurigsk.jp/pc/aa/index.html

『シムビコート』
http://med.astrazeneca.co.jp/patient/material/sym_howto.htm

『フルティフォーム』
http://www.f-kyunyu.jp/

『レルベア』
https://www.healthgsk.jp/guidance-for-patients/ellipta.html (ダウンロードページです)

ICS
『キュバール』
http://kanja.ds-pharma.jp/products/instruction/qval/movie/closedmouth.html(クローズドマウス法)
http://kanja.ds-pharma.jp/products/instruction/qval/(他の吸入方法動画)

フルタイド
http://kusurigsk.jp/pc/ft/howto/index.html

『パルミコート』
http://www2.astrazeneca.co.jp/yourhealth/zensoku-town/medications/pulmicort/turbuhaler/use-turbuhaler-movie.html

『オルベスコ』
http://www.s-zensoku.jp/info_dtl.html(小児用)

『アズマネックス
https://www.msdconnect.jp/hcpsupport/edtl/ASX_direction_for_use.xhtml

『アニュイティ』
https://www.healthgsk.jp/products-info/ellipta/instruction.html#(エリプタデバイスの説明)

LABA+LAMA
『アノーロ』
https://www.healthgsk.jp/products-info/ellipta/instruction.html#(エリプタデバイスの説明)

『ウルティブロ』
http://www.ultibro.jp/p_kyunyu/index.html

『スピオルト』
https://www.boehringerplus.jp/product-pages/spiolto/howto/respimat/movie03

LAMA
『アトロベント』

『スピリーバ』
https://www.boehringerplus.jp/product-pages/spiriva/howto/respimat/howto(レスピマットの操作法)
https://www.boehringerplus.jp/product-pages/spiriva/howto/handihaler/howto(ハンディヘラーの操作法)

『シーブリ』
https://drs-net.novartis.co.jp/dr/products/product/seebri/movie/

『エリクラ』
https://www.kyorin-medicalbridge.jp/eklira/patienteducation/howtomovie/index

『エンクラッセ
https://www.healthgsk.jp/products-info/ellipta/instruction.html#(エリプタデバイスの説明)

『イナビル』
http://www.influ-news.info/s/inhalation/movie.html

リレンザ
https://video.healthgsk.jp/content/dam/HCP%20Japan/ja/movies/h/relenza/kyunyu.html


このウェブサイトは正しく吸入を行うために載せたものです。一部分医療関係者のみのリンクがございます事をご了承ください。

6回目h29.10.25

鎮痛薬のクリニカル・クエスチョン

<鎮痛薬をメインとしたクリニカル・クエスチョン>
今回は、FIZZ先生の書籍(※1)を読みながら、初心者が当たりそうなクリニカル・クエスチョンを作ってみました。

セレコキシブは胃への影響が少ないって本当ですか?
セレコキシブはレバミピドやテプレノンなどと併用しなくてもいいですか?
COX-2阻害薬は腎機能低下の時、減量しますか?
NSAIDs全般的にどのくらいの期間使用すると心血管障害が起こりますか?
ジクロフェナクとロキソプロフェンはどう違いますか?
NSAIDsが効かない痛みはありますか?
NSAIDsとアセトアミノフェンは違いますか?
チアラミドと他のNSAIDsとは何が違うのですか?
アスピリン喘息の人でも使える鎮痛薬はありますか?

ありがとうございました
参考になれば幸いです。

(※1)
薬局ですぐに役に立つ 薬の比較と使い分け100 (羊土社)

薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100

薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100

お薬が出てくるまで

こんにちは。
今日は調剤薬局の流れをお話ししたいと思います。
調剤薬局って結局薬剤師が何をしているのか分からないですよね。
一人でも多くの患者さんに知ってもらう努力も必要じゃないかな?と思います

では、いきますよ!!
まずお店に入って来ました。
受付で処方せんを渡します
この時にお薬手帳の有無を確認します

事務さんがパソコンに入力します

お店によってはここで薬局に採用の無い薬が判明します

****<お店に無いパターン>****
近隣の薬局に電話をします。近隣の薬局がもっている場合、借りに行くことがあります。
ただし、お薬によっては貸し借りに制限がある医薬品もあります。
**************

パソコンに入力が終わったら
薬剤師が処方せんを見てお薬を集めます。
そのときに見るポイント
①先発医薬品か?後発医薬品か?
②医師から変更不可のサインがあるか?
③薬の名前は何か?
④規格はいくつか?(なんmgか?)
⑤一日量はいくつか?(一日何錠?)
⑥何日分か?

これらの情報を確認しながらお薬を集めていきます

お薬を集め終わったら
次は「鑑査」です。

「鑑査」とは先程お薬を集めるときにみた①~⑥までのステップ+お薬の使い方などを確認します。
「鑑査」のポイント
①患者さんの名前
②患者さんの生年月日
③患者さんの保険番号
④処方せんの発行先
⑤処方せんの期限
⑥集めたお薬が正しいか?
⑦処方せんのお薬の使い方が正しいか?
⑧日数制限のあるお薬の場合、制限を越えていないか?
お薬手帳に載っている(今使っている)薬と一緒に使って問題がないか?
⑩患者さんのアレルギー歴、副作用歴、今までの病気(疾患)から見ても使ってよい薬か?
⑪小児の場合、年齢や体重から正しい量の薬か?
などなどを確認していきます。

**************
ここの⑨でお薬手帳が無いのに「実はお薬を飲んでいました」が一番怖いのです。
どう怖いのだろう?…病気によっては飲んだり使ったりしちゃいけないお薬がある患者さんもいます。

だから私達薬剤師をはじめとする医療者はお薬手帳を確認させていただきます。
ご理解をお願いします。
****************

これらのステップを踏んでから、患者さんの前に出てきてお呼びします。

そして最後に、処方せんの薬から大体の患者さんの状態は予測がつきますが
これが本当に正しいのか?医師は間違えていないのか?
患者さんと会話をしながら確認していきます

①湿布を貼る部位
②軟膏を塗る場所
③お薬を飲むタイミング
④疾患(病気)の種類
⑤新たなアレルギー
⑥新たな副作用

などを確認して、たまに訂正があるときはお待たせしてしまうかもしれません。
全てが良し!
となったときにお会計に移れます。

お会計が終わってお渡しが出来たらミッションコンプリート!!

いかがでしたか?
私も薬学部に入るまで全然知りませんでした。

もし
自分の薬が今どこの「段階」なのか分かると、もう少し待ち時間の気持ちが変わりそうですよね。
薬剤師さん、患者さんから声をかけられたら、「今ここの段階ですよ」って伝えてあげられれば良いですね。
そしてその「段階」を患者さんと共有出来る世界になれたら良いですね。

今日のクリニカル・クエスチョン

普段目薬=点眼剤の服薬指導をしていますが、服薬指導でも薬歴でも何気なく書いている(言っている)言葉にちゃんと意味を持っていますか? 理由を答えられますか?

特に新人時代に出会いそうな点眼薬のクリニカル・クエスチョン。まではいかないクエスチョンを集めてみました。

 

PF点眼薬ってなんですか?

何故2種類以上の目薬を使うときには間隔をあけて使用しないといけないのですか?

2種類以上使うとき、目薬に順番ってありますか?

絶対に最後に点す目薬はありますか?

「眼瞼へ塗布」の眼瞼はどこだか分かりますか?

ミニ点眼薬とは何ですか?

ドライアイに使える目薬はありますか?(ドライアイが適応の薬はありますか?)

目ヤニ症状に抗菌薬の目薬は効果ありますか?

ヒスタミン薬点眼薬の使い分けはどうやるんですか? 症状に応じて有意差はありますか?

緑内障で抗コリン薬を使える症例がありますか?本当に抗コリン薬が使えない(禁忌)のですか?

目薬はどのくらい保管できますか?

目薬は冷蔵庫に保管したほうがいいですか?

コンタクトは付けたまま目薬を使ってもいいですか?

何故目薬を点すと口の中やのどに回ってくるの?

 

ぜひ調べてみてください。患者さんにぜひ伝えてください。

参考になれば幸いです。

学術大会に参加して得られたクリニカル・クエスチョン

第50回日本薬剤師会学術大会に参加してきました。

「疼痛ケアにおける薬・薬連携について」講演を聞きながら浮かんだCQを書き出してみました。

 

まず、薬剤師が出来ること、介入出来ること

  • 薬の提案、変更
  • 副作用チェック
  • 薬の説明

この3つが主体とされる。

 

<②の副作用の対応に対してのCQ> 

①訴えに対してOPQRSTを用いて聞き取りができますか?

②副作用を継時的に変化するのを見ることで何が生まれますか?

③痛みに対してスコアリングや点数を用いて評価するのは実際にどう有効なの?

④レスキューを投与した時に効果を眠気と痛みで評価するとき、ケミカルコーピングの対応に繋がりますか?オーバードーズを防ぐことが出来ますか?

オピオイドの換算比を用いて調剤をしていますか?

 

<薬・薬連携と看取りについて>

①疼痛ケアの看取り数を表すときに何故「癌」患者なのですか?「非癌」性疼痛患者は含まれないのですか?

②薬薬連携における薬局薬剤師が専門認定を取っていない場合相手にされませんか?

③薬局に麻薬や抗がん剤の処方せんが来て身構える理由の中に、患者情報の少なさや医薬品の在庫問題などが挙げられるため予めの情報提供が欲しいですが、患者がどこの薬局に処方せんを持っていくのか不明なのに薬薬連携が出来るのですか? 薬局の誘導になりませんか?

 

OPQRST・・・

O(onest):発症様式、

P(palliative/provocative factor):増悪、寛解因子、

Q(quality/quantity):性質、

R(region/radiation/related symptom):場所、広がり、関連症状、

S(severity/associated symptoms):強さ、

T(temporal characteristics):時間経過、日内変動

つまり、「いつ、どこが、どの様に、どの位の強さで、どうやったら悪くなって、時間とともにどうなった」