お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

EMPA-REG試験を読んでみました

EMPA-REG OUTCOME

N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2117-28. doi: 10.1056/NEJMoa1504720. Epub 2015 Sep 17.

www.ncbi.nlm.nih.gov

PMID:26378978

P:2型DM、心血管リスクの高い人、18歳以上、HbA1c7.0~9.0、n=7020
E:エンパグリフロジン 10㎎、25㎎(n=4687)
C:プラセボ (n=2333)
O:心血管イベントによる死亡率、入院

ITT解析→してる
ランダム化→RCTなので、してる
盲検化→doubleblindなので、してる

 

【結果】
プライマリoutcome:HR:0.86、95%CI(0.74to0.99)p=0.04
心血管死:HR:0.62 95%CI(0.49 to 0.77)
全死亡率:HR:0.68 95%CI(0.57 to 0.82)

 

【感想】
結果として有意差が出て、心血管リスクの高い人の死亡率などを減らした様に見えますが、
エンパグリフロジンの投与は10㎎群と25㎎群がいるのに、プライマリアウトカムの結果としてはエンパグリフロジンだけしか記載がありません。
10㎎群だけはどうなったの?25㎎群だけはどうなったの?
すこし疑問が湧いてしまう結果です。

OTCの解熱鎮痛薬をまとめました

OTCの解熱鎮痛薬って色々ありますよね。
以前はバファリンと言ったらひとつ位しか無かったとおもっていたのですが、何種類も出ていて、主配合成分が弱冠異なっていました。

どれがどれなのか分からなくなってきた&一回一回調べるのが大変なのでまとめてみました。f:id:nitrotake8:20180831233644j:plain
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同じ配合のものがあるんですね。
これだと採用を考えるときや代替薬の提案の参考になりそうですし、他のドラッグストアさんに誘導させていただくときに、お伝えすることが出来そうです。

****追加***
けいしゅけさんのページに参考になる記事が更に詳しく解説してくださっています!!

https://keisyuke-blogyakkyoku.xyz/%E5%B8%82%E8%B2%A9%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AA%E3%83%B3%EF%BC%98%E5%93%81%E7%9B%AE%E3%81%AE%E6%88%90%E5%88%86%E3%83%BB%E9%A3%B2%E3%81%BF%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B%E3%83%BB%E5%AF%BEkeisyuke-blogyakkyoku.xyz
****追加終了****
意外とありそうで無かったのでまとめを今回は作成してみました。
皆様の参考になれば幸いです。

この記事は特定の医薬品を推奨する記事ではありません。ご注意ください

OTC パブロン®シリーズ

今回はパブロン®シリーズです

 

13種類もあって、まとめるのに「マジか!!」「多いな!!」

と正直に思いました。

でも、よく見てみると

錠剤と微粒で構成成分が同じものが出ているのですね

つまり、この構成成分が飲みたいけれど、錠剤は苦手or粉薬は苦手のパターンの人には、どちらかを選択することが出来るのが強みだと思いました。

パブロンメディカルNには、プソイドエフェドリン含有なのが注目かも。

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参考になれば幸いです。

特定の製品を推奨する記事ではありません

 

薬学教育学会を参加した感想

薬学教育学会に参加してきました。
久しぶりに大学の教授と話していて、今のカリキュラムも教育方法も変わってきているようです。
もちろん国家試験という壁はあるけれど、その先を見た教育になってきているのかなという印象を受けました。

EBMのシンポジウムを聴いてきまして、思ったことと言っていたことをツラツラと。


現場の薬剤師に対してEBM教育をするときに、指導する人が必要だ
まず指導する人を育てなければならない

また、現場で数年仕事をされてきた中で、「特に変わりたくない」など意識がある人にとっては、EBM教育をするのは至難の技かもしれない。

そこで学生に、EBM教育をしてみる
医療職としての意識を持って、薬学に入っている人には興味を持ってもらえるだろう。
1~3年では、とくに前景疑問にあたる基礎知識をしっかり勉強してもらう。その上で4年生あたりから、仮想症例をベースにSGDをしながら治療に対する妥当性を考えていく
私個人的には、4年生のときに理想症例や処方を基に行って、5年生で実務実習に参加後の実際の問題点に触れた後に症例を検討していくと意識が変わるのだろうかと気になる点がある。

4年生でPECO/PICOを組み立てて、検索する。症例に対する妥当性を考えることが出来たとしよう。
それで実務実習に参加した時に、指導薬剤師や他の同僚薬剤師が実践していないではなく、やり方を知らなかった場合、実習生の落胆は大きいものではないだろうか?
「じゃあ、読んでみよう」
それをどう現場に反映させているかが問われてくる

対物業務から対人業務ではなく、対物業務「と」対人業務

患者さんとコミュニケーションを取りながら、渡すだけになる
アセスメントをしないで渡すだけになる
これでいいのか?
貴方がよくても、世界はよくない

学生と現場の薬剤師どちらに教育をすればよいではなくて、どちらにも教育をしていかないと、薬剤師全体の底上げにならないのだろう


大学と現場の薬剤師を繋げるものがもっと必要なのだ

大学の教育に曖昧なものが許されないのは、以前教授から聞きました。
学生には曖昧なものを教えてしまうとより混乱させてしまう。 まずは正しい道筋を教えていかなくてはならない

でも現場は曖昧なものが沢山。
なんでその薬なんだろう?なんでこの量なんだろう? 医師がそういっているのだから 意外に理論的じゃない
少し理論的になるとエビデンスの話になるけれど、エビデンスも絶対じゃない
こうしてもいいんじゃない?という指標に過ぎない

学生には種を蒔くことが出来たら、その未来は少しだけ違うのかもしれない。

OTC エスタックイブ®シリーズ

今回はエスタックイブ®シリーズです。

鼻水!とかのどの痛み!とか結局どれを買えばええねんってなります。

成分表を良く眺めてみたら、ほぼほぼ同じ構成なんですよね。

微妙な違いってどこなのか まとめてみました。

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前回同様に成分を書き連ねて見ましたが、分かりにくい!!

どこが違うのか一目でわからなかったので、別の視点で模式図にしてみました。

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こうやって足し算したり、引き算したりして構成されているのですね。

基本構成成分はエスタックイブ®であることみたいです。

皆様の参考になれば幸いです。

特定の商品を推奨する記事ではありません。

 

OTCの調べまとめ①

セデスシリーズ

①新セデス

②セデス・ハイ:イソプロピルアンチピリン配合(ピリン系)

③セデス・ハイG:セデスハイの顆粒剤(配合成分は同じ)

④セデス・ファースト:アリルイソプロピルアセチル尿素なし→運転OK、酸化Mg配合

⑤セデス・キュア:イブ®A錠と同じ含量、配合
☆オススメは、セデス・ファースト

セデスシリーズでアリルイソプロピルアセチル尿素を含有しないものは、①セデス・ファースト→運転。機械操作OK(アリルイソプロピルアセチル尿素は催眠作用あり)

ノーシンシリーズ

①ノーシン

②ノーシン錠:ノーシンの錠剤、エテンザミド40㎎多い(160㎎配合)

③ノーシンピュア:アリルイソプロピルアセチル尿素(+)、イブA・セデスキュアと同じ

④ノーシンピルケース:〃

⑤ノーシンホワイト:ノーシンよりエテンザミド260㎎多い(380㎎配合)

⑥ノーシンエフ:イブプロフェン(200㎎)のみ、カプセル、イブメルトと同じ含量、配合

⑦ノーシンアイ頭痛薬:イブプロフェンとAAのみ

 

 

<プソイドエフェドリン含有>

エスタック鼻炎カプセル12

カイゲン鼻炎カプセル12

カイゲン鼻炎カプセルP

④鼻炎薬A「クニヒロ」

⑤新コンタック600プラス

パブロン鼻炎カプセルSα

パブロン鼻炎速溶錠

プレコール持続性鼻炎カプセルL

プレコール持続性鼻炎カプセルX

⑩ベンザ鼻炎薬α

 

<下痢止め>

ストッパ下痢止めEX

下痢止め錠「クニヒロ」

同じ含有量、含有物(ロートエキス60㎎、タンニン酸ベルベリン100㎎)

トメダインコーワフィルム:ロペラミド(0.5㎎)

<酸化マグネシウム製剤>

アクアナチュラル便秘薬 2000mg/6錠中

イオナミンZ 1980mg/6錠中

エストンナチュラル 2000mg/6錠中

酸化マグネシウムE便秘薬 2000mg/6錠中

錠剤ミルマグLX 0.35gスイマグ 26mL中9.99%

スイマグ・エース 21mL中2.1g

スラーリア便秘薬 2000mg/6錠中

スルーシア 2000mg/6錠中

ビーマスs 1980mg/6錠中

アストルベン錠 2000mg/6錠中

3Aアクアマグ 2000mg/6錠中

3Aマグネシア 2000mg/6錠中

 

ラックル アセトアミノフェン300㎎

適応:

○腰痛・神経痛・関節痛・肩こり痛・筋肉痛・頭痛・捻挫痛・外傷痛・打撲痛・骨折痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽のど痛・耳痛・月経痛(生理痛)の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱

→よって、宣伝の腰痛のみじゃなく頭痛や歯痛に使用するのに薦めても適応上の誤りはなし。(副作用救済はOK)

 

ピルってなんだろう?

ご訪問ありがとうございます。
(特に男性の)皆さん、ピルって知っていますか?
ピルって避妊に使うイメージがありますよね? 
実は、治療薬としても使えるんですよ!!
 
知ってました?
 
ピルの仕組みを利用して、治療に用いることが出来る理由は女性のホルモンを調べると分かってきます
 
言い換えると、月経=生理の仕組みを使うと、それに関する病気の人で悩んでいる人には治療薬として使えるのです!!
 
さてさて、ピルとはなんぞや??
ピルは医薬品なのです。その成分は黄体ホルモンと卵胞ホルモン2つが配合されたもの
はい、終わりです(笑)
 
でも、これじゃあ記事にした意味ないですね。。。。
 
 
よし、もう少し深く掘り進みましょう!!
黄体ホルモン、卵胞ホルモンってなんですかね?
たぶん、女性ホルモンだと思う・・・と予想はつくと思います。
じゃあ、女性ホルモンってどうやって出て、どうやってはたらいているんでしょうか?
まとめてみました
 
まずは、女性ホルモンの分泌調節について ちょっと難しくなるかも・・・
女性は、約1ヶ月周期で性周期を持ちます。その周期を調節するのは視床下部-下垂体-卵巣系といったラインです。(下の図を見てね)
成長して性機能が成熟をしてくると、
視床下部からゴナドトロピン放出ホルモン(Gn-RH)というホルモンが分泌される
②Gn-RHの放出(命令)を受け取った下垂体の内、下垂体前葉は卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体刺激ホルモン(LH)というホルモンが分泌される
③FSHを受け取った卵胞は卵胞の発育とエストロゲンの放出をする
④発育した卵胞にLHが作用して排卵が起こる⑤卵を出した殻は黄体になる
⑥黄体からエストロゲンプロゲステロンを放出する
プロゲステロンエストロゲンは子宮内を着床しやすい状態に整える(ベッドをフカフカにする)
⑧受精しなかった場合黄体からのプロゲステロンエストロゲンの分泌は減っていく
⑨妊娠が成立しなかった場合、エストロゲンプロゲステロンの分泌低下によってフカフカにした子宮内膜は排泄される=出血する=生理が起こる=月経した=おりものが出た
⑩①に戻る。

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各種薬剤師国家試験予備校資料より作成

 

基本はこんな流れでからだの中のホルモンが流れて生理が起こっています。
ここで出てきた、ゲスタゲン=プロゲステロン(黄体ホルモン)エストロゲン(卵胞ホルモン)が主に女性ホルモンとして取り扱われます。
 
④をLHサージといって排卵予測に使う。
(この数日後、体温が上がるので、体温計で計って排卵を予測することもしています)
今は、排卵予測の簡易キットがあります。この簡易キットはLHをターゲットとして検査しています。
 
~ちょっとだけ薬学で習う話~
LHをターゲットとして測定する検査キットは抗原抗体反応を利用したサンドイッチ法を用いています。
金コロイド粒子や着色ラテックス粒子等で標識した抗体と尿中LHを結合し て、複合体を形成させた後、複合体を更に判定部上に固定化された別の抗体で捕捉することで、判定部が着色され LH の有無が確認できるものです。
評価結果報告書 (平成 27 年 10 月 26 日 )
この資料の中にLHサージに関する図があるからぜひ見てね
 
 
ポイント!
分泌されるエストロゲンプロゲステロンが持続的にでていると、視床下部や下垂体前葉に作用して
「これ以上刺激(分泌)しなくて良いよ!」
と指令を出すことで、次の排卵が起こらない状態を作ります。=ネガティブフィードバック
→妊娠中はこの状態です! 
妊娠中に新しい排卵は起こらないのは、エストロゲンプロゲステロンが持続的に出ているからです
→この状態にするためにピルを服用する
 
 
→この仕組みを利用して、
出血が多くて困っている病気の人が子宮内膜の出血を起こさないようにするために、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの両方が配合された、お薬を飲むことでコントロールする事が出来ます。
しかし、ホルモンの調節を完全にコントロール出来る訳ではないので、出血が少なからず起こることがあります。
 
 
まとめると
ピルを飲むことで
①不正出血を抑制、②生理不順を整える(生理の周期がバラバラになっているのを整える)
が期待出来ます。
 
今回は女性ホルモンの仕組みについてまとめてみました。
なんでこれを小学校や中学校の性教育で男子には触れないんですかね?
もう少し簡単でもいいので、触れる、学ぶ機会が必要だと思います。
 
次は、PMSについて書いてみましょう?
(気力があったら 笑)