お薬のこと

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胃がんの予防にピロリ菌除菌は有効ですか?SR&メタアナリシス PMID:32205420

PMID:32205420
Gut. 2020 Mar 23;gutjnl-2020-320839
P:ピロリ菌陽性の成人(N=8323)+胃腫瘍進行中(N=1841) N=84164 
E:ピロリ菌除菌する 
C:除菌しない 
O:胃がん発生率、胃がんによる死亡率
T:2年 システマッティク&メタアナリシス 10RCT
【結果】
胃がんの発生率:RR 0.54 (0.40-0.72) NNT=72
胃がんによる死亡率:RR 0.61(0.40-0.92) NNT=135
胃腫瘍進行中の人の将来的な胃がん発生率 RR 0.49(0.34-0.70) NNT=21

【コメント】
以前からピロリ菌除菌は胃がん発生率を減らせることが知られていたが、今回のメタ&SRでも示された結果だった。
気になった点が3つ
胃がんによる死亡率を減らすことは出来たが、「but did not affect all-cause mortality」=全死因死亡率には影響がなかった。なぜこの文面を入れたのかが気になる。
②NNTの点で見ると「72人」「135人」とは思ったより大きいのではないだろうか?調剤薬局でピロリ菌除菌の服薬支援をする機会はあまりない。薬局の立地にもよるかもしれないが、1カ月に10人くるかどうかである。
③以前のメタ&SRでは胃がん関連死亡率の低下が見られず、多くのデータが蓄積されたため新たに更新した、解析したとはあるが、それは「N数を増やして有意差が出た」とどう異なるのか気になる点でもある。
今回はアブストラクトのみのため詳しい事は分からず。