お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

発作が6時間以上持続する心房細動にはレートコントロールとリズムコントロールどちらがいいですか? PMID: 12466506(AFFIRM試験)

PMID: 12466506(AFFIRM試験)
N Engl J Med, 347 (23), 1825-33

【論文のPECO】
P:6時間以上持続する心房細動、AFと脳卒中と死のリスク(+)、平均年齢69.7歳、
再発の恐れのあるAF、長期治療が予想されるAF、女性39.3%、HT70.8%
E:リズム(+抗凝固療法) N=2033
アミオダロン・ジソピラミド・フレカイニド・モリシジン・プロカインアミド・キニジン・ソランタール・ドフェチリド
C:レート(+抗凝固療法) N=2027
β遮断・CCB(ベラパミル・ジルチアゼム)・ジゴキシン
O:死亡率
【結果】
5年間死亡率 23.8%vs21.3% HR 1.15 (0.99-1.34)
入院率:リズム<レート
E群のクロスオーバー率:1年後7.8%、3年後11.6%、5年後14.9%
C群のクロスオーバー率:1年後16.7%、3年後27.3%、5年後37.5%
(差はP<0.001)
【コメント】
心房細動などのリスクがある高齢者に対してリズムとレートで死亡率は変わらなかった。
ただ、E群のレートに切り替えた割合がC群に比べて多かった。
クロスオーバーをした理由は薬の忍容性などによるものであったが、それによってリズムとレートの使用比較で有意差が出なかったという評価を下していいのか疑問である。
もし単純にクロスオーバーをしなかったとしても、リズム群でもジゴキシン:54.9%、β:49.6%と半数近くはレート薬物を使用しているので真の比較した試験結果とは言えないのではないだろうか。(レート群のジゴキシン:70.6%、β68.1%)

 

f:id:nitrotake8:20200329133306p:plain

文献より、筆者作成