お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

臨床推論について学んできた。集合研修 inお茶の水

今日は御茶ノ水で臨床推論について学んできました。
 
臨床推論ってなにをするの?
患者さんの話す主訴や病歴(ここでの病歴は既往歴ではなく、経過のこと)を基に、考えられる疾患を考えて臨床決断(受診勧告orOTC販売対応orそのまま帰宅)をすること。
思考方法が薬学部で学んできたのは、疾患から症状を考えることが多かったのですが、推論をするときは逆のようです。

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臨床推論を学ぶことで得られること、出来ることは?
・患者さんから、情報を網羅的に収集することができる。
・問題とされる部分に焦点をあてられ、評価し、適切なマネジメント(アセスメント)ができる
→患者の負担軽減、医師へのバトンタッチ
・医師が行う治療に対するプロセスの一部を学ぶことで、治療の必然性、緊急性、判断を理解して、患者に服薬支援で伝えられる
→患者の不安感軽減
 
レッドフラグサイン:見逃してはいけない症状、疾患のサイン

効率的な病歴聴取方法
LQQTSFA
L:部位
Q:性状
Q:程度
T:時間経過
S:発症状況
F:寛解・増悪因子
A:随伴症状

・どんな痛みですか?
・どこが痛みますか?
・痛みは持続していますか?
・1回の痛みの持続時間はどのくらいですか?
・痛み始めてから、痛みがほぼゼロになる時間(瞬間)はありますか?
・痛みが出た時、何をしていましたか?
・歩くと痛みが響くことはありましたか?

ちなみに
OPQRST というものもある。私は普段こちらを使用している。
O:突然か?緩徐か?
P:増悪・寛解因子
Q:症状の質
R:場所、放散の有無、関連症状
S:強さ
T:時間経過、日内変動

 
 
腰痛について(臨床推論)
腰痛のレッドフラグサイン
①急速に進行する下肢のしびれの有無
②腰痛と同時に排尿、排便障害
③安静時に痛みあり→大動脈解離、膵炎、腎盂腎炎
④発熱
OTCで様子を見ても良いかもしれない症状》
下肢のしびれなし、安静時に痛みなし→筋骨格の痛みの可能性あり。

嘔吐、吐き気について(臨床推論)
嘔吐などの場合は、消化器疾患だけが鑑別の材料ではない。
レッドフラグサイン
①吐瀉物に血液や黒いものがまじっている
→上部消化管
②腹膜刺激症状を伴う
虫垂炎、消化管
→ブルンベルグ徴候、かかと落とし試験
③持続性の腹痛がある
→急性胆嚢炎、急性膵炎、腹膜炎、イレウス
④アシドーシス
⑤下痢を伴わない
⑥脱水を疑う
⑦3日以上続く、増悪傾向にある嘔吐

腹痛について(臨床推論)
レッドフラグサイン
①突然発症で、30分以上持続する
→血管が詰まる、破れるなどの可能性あり
②歩くと響く腹痛
→腹膜炎を疑う症状
③2時間以上絶え間なく続く腹痛
 
以下の項目以外は受診勧告!!
①持続時間が分単位
②痛みがほぼゼロになる瞬間がある→蠕動運動している
③排便による改善がある
④下痢以外の随伴症状がない
⑤バイタルサインが安定している
⑥全身状態が安定している
 
参考:2019年3月17日 集合研修 inお茶の水
ここからはじめる!薬剤師のための臨床推論 川口崇・岸田直樹 他