お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

痛み止めのNSAIDSから腎機能を復習してみた。

痛みの学びの中で、NSAIDSを使うとむくみが腎機能に影響を与えているサインになっていると分かった。

では、どう影響しているのだろうか?

もう一度腎機能について学んでみた。

腎不全には①急性腎不全 と ②慢性腎不全があったと学んだ

ここで注意したいのは急性が起こって進行すると、慢性になるわけでないこと。

 

更に調べを進めるとAKIいう概念にぶち当たった。 これは何だろうか?

 

ARF(Acute Renal(kidney) Failure)(急性腎不全)には国際的な統一的な基準が無かった
 ↓
再定義して、①分かりやすくした ②早期の段階の腎障害も概念に含めた
のがAKI(Acute Kidney Injury)(急性腎障害)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/5/103_1153/_pdf

 

AKIを原因で分類してみると、以下のようになっていた。
①NSAIDS RAS阻害薬 脱水 嘔吐 下痢
②急性尿細管壊死 急性間質性腎炎 感染 DIC 横紋筋融解症
③尿路結石 前立腺肥大症

①→腎血流量低下↓↓→腎前性
②→腎の直接的な障害→腎性
③→腎以降の尿路障害→腎後性

腎臓の前か本体か後かによって区別をしているようです。

 

ではNSAIDSを使うとどうやって腎機能に影響を与えるのだろうか?

NSAIDS投与→PG低下↓↓→循環血液量低下↓↓
NSAIDS投与→PGI2低下↓↓→血管収縮(主に輸入細動脈)→腎血流量低下

 

ここで、RAS阻害薬も一緒にみると分かりやすいかもしれない
RAS阻害薬投与→輸出細動脈の拡張→糸球体内圧↓↓→腎血流量低下

 

NSAIDSとRAS阻害薬を同時に使う、高齢者の患者さんがいたら少し気を付けなければいけないかもしれない。

おまけ

横紋筋融解症:ミオグロビン逸脱→ミオグロビンが基底膜に沈着→尿細管壊死

 

慢性腎不全
糖尿病などの基礎疾患あり→ネフロンの喪失→色々なものが排泄されにくくなる
数カ月~数年の経過で進行する。
不可逆的な病態→最終的に透析に移行しやすい
糖尿病によって腎の血管障害による新規透析導入原因疾患の第1位→糖尿病性腎症

腎機能がていかすることで「腎性骨異栄養症」という症状が起こる。

これは、
腎機能低下→VitD3が活性型VitD3にならない
→腸管からのCa吸収率↓
→血中Ca濃度↓
→骨吸収↑
→骨がもろくなる
→相対的にリン(P)が多くなる
→高P血症
→治療薬;沈降炭酸Ca・セベラマー・炭酸ランタン

というものだそうだ

 

腎機能の評価としてなにも用いるのか?
CKDの診断→eGFR(mL/min/1.73m2)
薬物投与の設計→eGFR(mL/min)

体表面積に注意が必要。

添付文書上のCcr(mL/min)≒eGFR(mL/min)として扱うことは出来るそうだ。

 

さて、腎機能が低下している患者さんが整形などで痛みを訴えていたらば、NSAIDSの代替薬としてあげるならば、アセトアミノフェン、もしくはトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合剤になるかもしれないなぁ。 

 

参考:保険薬剤のための疾患別Q&A Vol.3 腎機能低下 薬事日報社

 

保険薬剤師のための疾患別Q&A 3腎機能低下

保険薬剤師のための疾患別Q&A 3腎機能低下

 

 

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